東海大学公開講座 「SPORTS EVENT(道民カレッジ連携講座)~未来のオリンピックへ~」を開催しました

札幌キャンパスでは10月19、20日に、東海大学公開講座 「SPORTS EVENT(道民カレッジ連携講座)~未来のオリンピックへ~」を開催しました。今回は6月の講座「ボルダリング体験 南沢にウォール現る ~とにかく登ってみよう!~」の続編。日本人女性初のプロクライマーで、2020東京オリンピック・パラリンピック教育事業講師も務める尾川とも子氏が講師を務め、19日はクライミングジムのグラビティリサーチ札幌(札幌ファクトリー)で、「プロから教わるボルダリング~チャレンジ~」を、20日にはさっぽろテレビ塔2階ホールで、講演会「女性アスリートのパイオニア精神~限界の壁を乗り越えよう!~」を実施しました。

19日の講座では、尾川氏が幅広い世代を対象にボルダリングでの身体の使い方や動きといった実践的な技術をわかりやすく指導しました。午前の第1部は親子34組57名(子どもは未就学児と小学生)、午後の第2部は中学生以上の大人20名と、第1部の参加希望者が定員をはるかに超えたため、午後の部に急きょ回ってもらった12組30名を加え、のべ12組52名の参加をいただく盛況ぶりでした。ジムには最高地点4.2mのさまざまな壁があり、5グループに分かれた参加者はローテーションで、事前に教わった安全面をきちんと意識しながらそれぞれの壁に挑んでいました。多くの方がボルダリング初体験か、経験が数回という初心者で、最初は壁を前に不安げな表情を見せていた子どもたちも、すぐにコツをつかんでスイスイと登ります。周囲で見守る参加者からは、「いいよ!」「OK!」といった掛け声が飛び交い、終始、楽しげな雰囲気に包まれていました。小学3年生の男の子は「すごく楽しかった。またやりたい」と興奮気味に話し、娘さんと参加したお母さんは、「私の方がハマってしまいそうです」と笑顔を残して会場を後にしました。

経験者も参加した第2部では、傾斜が90度以上ある覆いかぶさるような壁を使用し、よりテクニカルな指導も行われました。苦しいときは「ガンバ!」、うまくホールドをつかめたときは「ナイス!」と、ボルダリングでは一般的な声援も出始め、次第に熱を帯びた様子はさながらコンペ(競技会)のようでした。ボルダリング歴2年で大人顔負けの登りを見せた小学5年生の男の子は、「登れなかった壁が登れるようになったときの達成感が気持ちいい」とボルダリングの魅力を語っていました。第2部の最後に模範の登りで、プロクライマーのすごさを存分に披露した尾川氏は、初日の感想を「まずは大きなけがもなく、皆さんで和気あいあいとやってもらえたのがよかったです。スポーツクライミングに興味を持って、またチャレンジしてもらえたらうれしいですし、何か1つでも今日覚えたことを、ボルダリングに限らず、これからの自分の生活や目標に生かしていただけたらと思います」と語りました。

翌20日の講演会にも、約70名の方が参加しました。尾川氏によるスポーツクライミングの説明からスタートし、かつて出演したテレビ番組で左右の中指だけで懸垂をする姿が映し出され、参加者から思わず「すごい!」と嘆息まじりの声が漏れていました。後半には、尾川氏が考案した紙に書かれたホールドを指で攻略していくペーパークライミングに挑戦。その後、尾川氏のクライミングとの出会いやトップアスリートへの道のり、そして現在までの半生をあらためて振り返るとともに、「これからも物事であきらめることはあったとしても、夢を持ち続けることだけはあきらめずにいたいと思います」と、力強く語りました。参加した札幌キャンパスのラグビー部員は、講演後、「V14という難しい岩を世界の女性で初めて登ったとき、3年をかけて700回も挑戦したという話が印象的でした。これからのラグビーや学生生活で生かせる経験談を聞くことができました」と話し、2人でボルダリングを趣味にしているというご夫婦は、「家事や子育てもしながら、うまく時間を使ってトレーニングも欠かさない尾川さんの姿勢が尊敬します」と、それぞれに充実したひと時となった様子でした。

※「ボルダリング」とは、5m以下の壁を登る、手軽でシンプルなフリークライミングを指します。その語源は、大きな石を意味するboulderで、もともと自然の中にある巨石を登る遊びとして始まり、やがて人工壁に設置した「ホールド」と呼ばれる突起物を登るスポーツとして発展しました。東京五輪で新たに正式種目となった「スポーツクライミング」は、高さ約3mから5mの壁で複数の課題(コース)の完登数を競うボルダリングのほか、高さ15mの壁を登る速さを競う「スピード」、制限時間内に到達した高さを競う「リード」の3種目の総合で争われます。

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