朝日新聞社と「朝日教育会議2020」を実施しました

東海大学では12月5日に、朝日新聞社と共催で「朝日教育会議2020 多様性の時代を生きる」を実施しました。朝日新聞社では、各大学と連携して「教育の力で未来を切り拓く」をテーマにさまざまな社会課題に焦点をあてて議論を展開するこの催しを開いており、今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、オンラインでのライブ動画配信の形式で行われています。今回は本学が2022年度に実施を計画している改組改編で国際学部が設置される予定の高輪キャンパスを会場に、本学卒業生で女優のサヘル・ローズ氏による基調講演、山田清志学長によるプレゼンテーションなど3部構成で実施。事前に申し込みのあった1000名が聴講しました。

サヘル氏は、イランで孤児として育った生い立ちや、養母と来日した当初のエピソードを披露。異文化へのとまどいや言葉の壁、苦しい生活環境、恩師との出会いなどを振り返りながら、本学短期大学部高輪校舎(当時)に置かれていた情報・ネットワーク学科で学んだ日々に触れ、「その中で、学びや教育の漢字『学』にも『教』にも『子』という文字が入っていることに気づきました。子どもの心で、学びたい気持ちがあれば、人はいつでも学ぶことができます。社会に出ても学ぶことはたくさんあります。知らないということを恥ずかしがってはいけません。知ろうとしない、無関心がいちばんよくないのです。誰しもが、お互いが生きやすい社会をつくる意識を持って生きていきましょう」とさまざまな物事に関心を持ち、学び続け、自らの道を切り拓くことの大切さを訴えかけました。

続く第2部では、山田学長が登壇して「東海大学の考える国際化とは」をテーマにプレゼンテーションを行いました。本学がこれまで取り組んできた、デンマークへのヨーロッパ学術センター設立やスポーツを通じた世界平和実現への貢献、ロシア(旧ソ連)や東欧諸国、東南アジア、中東などとの独自の民間外交、39カ国・地域、128大学・機関と学術交流協定を結んでいることなどを紹介。「本学は、教育研究の指針として『QOL(人生の質)』向上に資する人材を育てると掲げており、2022年度には『日本まるごと学び改革実行プロジェクト』と題した大規模な改組改編を計画しています。これをきっかけとして、さらなる国際化とともにキャンパス間の連動や遠隔授業の積極的な活用に取り組んでいく考えであり、ぜひ注目し、期待していただきたい」とまとめました。

第3部は、朝日新聞社教育コーディネーターの中村正史氏の進行で、サヘル氏と教養学部国際学科の田辺圭一准教授、教養学部人間環境学科の小坂真理准教授によるパネルディスカッションを実施。国連機関の職員としてミャンマーやアフガニスタン、南スーダンで勤務し、「人間の安全保障」を専門とする田辺准教授と、駐ドイツ日本大使館や国連機関で環境問題に取り組み、現在はSDGs(持続可能な開発目標)の研究に取り組んでいる小坂准教授が経歴を紹介。田辺准教授は、「新しい国際学部では、まず学生たちには”世界で起きていること”を知るよう伝えていきたい。そのことが、なぜそうなっているかと考えることが研究につながっていきます。”世界のリアルを知る”よう促していければ」と語り、小坂准教授は、「自分自身、大学生のころに指導を受けた先生の”フットワークを軽く”という言葉のとおりにここまでやってきました。その結果さまざまな場所で学びがあったと思います。それは海外に限らず、身近な図書館やセミナーでも得られるものです。今いるところから少し離れてみるだけで視野が広がるということを学生たちに伝えていきたい」と今後への抱負を語りました。

また、席上ではオンラインで寄せられたサヘル氏への質問も読み上げられ、「学校の先生に期待することはありますか?」の問いに、「学校の先生が大人として経験してきたこと、失敗したことも提示してくれることが、子どもたちの見本になります。”失敗していい””先生も人間なんだと”伝えるだけで、聞く方は安心します。子どもたちに近い存在でいてほしいですね」と答えました。