伊勢原養護学校伊志田分教室でワークショップ「笛吹ボトルの音色~音のカタチ~」を実施しました

ティーチングクオリフィケーションセンターと文明研究所では6月6日から9月12日にかけて、神奈川県立伊勢原養護学校伊志田分教室の高等部1年生15名を対象に、ワークショップ「笛吹ボトルの音色~音のカタチ~」を実施しました。神奈川県と本学が展開する「ともいきアートサポート事業(創作×地域展示)」の取り組みとして、4回にわたって笛吹ボトルを制作するものです。大阪府立東淀川支援学校講師の亀井岳氏と岡山県立大学准教授の真世土マウ氏、放送大学准教授の鶴見英成氏を講師に招き、本学からはティーチングクオリフィケーションセンターの篠原聰准教授と文明研究所「東海大学所蔵文化財の活用のための基盤整備」プロジェクトの研究員の吉田晃章准教授(文学部文明学科)、学芸員を目指す学生たちが参加しました。

最終日となった9月12日は、はじめに亀井氏が授業の進め方を説明した後、これまで取り組みの復習として、鶴見氏が考古学の調査方法、真世土氏が焼き物に重要となる「土と火のバランス」について講義。続いて、吉田准教授がアンデス文明の歴史や文化について説明し、「アンデスの笛吹ボトルは、今から約2000年前から作られたことが調査から分かっています。皆さんの作った笛吹ボトルももしかしたら何千年も残るかもしれません。完成した笛吹ボトルを触って、魅力を感じてみてください」と話しました。その後、生徒たちは真世土氏と学生らによるサポートのもと、完成した笛吹ボトルを鑑賞。自分や友達の作品をさまざまな角度から見て触るとともに、水を入れて音を鳴らし楽しみました。生徒からは、「柔らかい粘土が焼いたら固くなった」「水の量で音が全然違う」といった感想が聞かれました。

制作段階から参加してきた小林万莉奈さん(理学部化学科4年次生)は、「子どもたちの作品には、自分では思いつかない発想や表現がたくさんあり、創作意欲が湧きました」と話していました。また、同校の長谷川智一校長は、「昨年から同事業でワークショップを実施していただき、今年で2回目になります。学生の皆さんが、生徒に親身に寄り添ってサポートをしてくれていたので、のびのびと制作できたと思います。生徒たちの美術への関心が高まるとともに、貴重な交流の機会にもなりました」と振り返りました。

同事業を管轄する神奈川県の中畑実土里さん(福祉子どもみらい局共生推進本部室共生グループ主事)は、「専門知識のあるアーティストの指導を受けながら制作でき、子どもたちに普段とは違った体験をしてもらえたのではないでしょうか。昨年度に引き続き、松前記念館での展示も行われるので、生徒たちの自信にもつながると思います。今後もこの活動を継続していければ」と語りました。