TRIESは「超高齢社会の環境福祉」をテーマにした公開シンポジウムを共催しました

東海大学環境サスティナビリティ研究所(TRIES)は、11月26日に高輪校舎で環境福祉学会と共催で、超高齢社会の環境福祉をテーマにした「公開シンポジウム」(後援:環境省、環境新聞社、福祉新聞社)を実施しました。TRIESは不確実で複雑な現代社会に、本学のSDGs・環境分野の研究成果を結集させ、地球市民の視点で学生の学習活性化に貢献するべく、2022年4月に設置した本学の研究機関です。日本の優れた環境政策を世界に発信し、産官学向けのプラットフォーム構築を通じた人材交流の促進活動を展開しています。今回は、テーマを「超高齢社会の環境福祉」に設定して、公開シンポジウムを行いました。

当日の公開シンポジウムでは、まず環境福祉学会会長の炭谷茂氏と大会実行委員長でTRIESの森本英香所長があいさつ。森本所長は、「新型コロナウイルス感染症の拡大やロシアによるウクライナ侵攻、急速に激化する気候変動など、現代社会には世界を挙げて早急に取り組まなければならない課題が沢山あります。こうした中で、我が国は“超高齢社会”というもう一つの問題にも直面しています。『気候変動等の環境問題と超高齢社会への同時対処』は、我が国が持続可能な社会を形成する上で重要なテーマとなっていることから、本シンポジウムが皆さまの参考になれば幸いです」と話しました。

炭谷 茂 氏
森本 英香 所長

その後の基調講演Ⅰでは、東京都健康長寿医療センター研究所 福祉と生活ケア研究チーム研究部長の井藤佳恵氏が「高齢者の住環境と福祉 高齢期に現れるいわゆる“ごみ屋敷”について考える」をテーマに講演。環境行政の使命は「ごみを片付けることなのか」それとも「ゴミ屋敷の住民に手をさし伸べることか」という問題提起がなされました。基調講演Ⅱでは、地域関連事業を展開するアミタホールディングス㈱代表取締役兼COOの佐藤博之氏が「資源回収を軸とした互助共助のコミュニティ拠点づくり」と題して、南三陸町での資源回収、分別の拠点を通じたコミュニティの再生、孤立化しやすい高齢者と子供たちの交流の取り組みを紹介しました。

パネルディスカッションでは、森本所長がコーディネーターを務め、井藤氏や佐藤氏のほか、岡山県で幅広く活動されている社会福祉法人生き活き館理事長の柏本行則氏、紙おむつのリサイクルに取り組んでいる株式会社ユニ・チャーム常務執行役員の城戸勉氏が登壇。「超高齢社会の環境と福祉の融合―幸せで持続可能な社会に向けて――」をテーマにそれぞれの取り組みを紹介しながら、議論を深めました。その中では、「アミタの取組が資源循環という環境対策と高齢者の孤立化防止という福祉対策を融合したものとして高く評価できる」という指摘や、井藤佳恵氏の基調講演での問題提起を受けて、「超高齢社会の下では、福祉政策と環境政策の融合を図ること重要で、そのことによって環境政策を一人一人の幸福につながるものとすることができる」といった指摘がなされるなど、活発な議論がなされました。閉会のあいさつでは、TRIESのメンバーでもある本学の山田清志学長が、「現代の大学は教育・研究活動で成果を上げることはもちろん、地域や社会の課題と向き合い、コミットしていくことが求められています。そこで本学はTRIESを新設し、持続可能な社会の構築の一助になろうと新たな一歩を踏み出しました。本日の内容は今後のTRIESの活動においても、重要な内容が多数含まれていましたので、参考にしながら地域貢献活動を展開していきたい」と抱負を語りました。

井藤 佳恵 氏
佐藤 博之 氏
城戸 勉 氏
柏本 行則 氏
パネルディスカッション
山田 清志 学長