横浜市歴史博物館との連携事業「大学と博物館の協働による文化財資料の保存活動事業」を実施しました

教職資格センターでは10月12日に湘南キャンパスの松前記念館で、横浜市歴史博物館との連携事業「大学と博物館の協働による文化財資料の保存活動事業」を実施しました。横浜市歴史博物館は(公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団)、横浜の歴史や文化、文化財を守り継承していく施設として外部と連携した取り組みを展開しており、2014年度には東海大学と「悠久のナイル」展を開催するなど、以前から交流があったことから今回の連携事業が実現しました。当日は、横浜市歴史博物館が資料を整理している「伊藤宏見旧蔵資料群」の中から掛け軸を対象としてコンディション調査とドキュメンテーションを実施。今年7月からは、本センターが開講する「博物館実習2」(指導教員=篠原聰准教授)の実践実習として、学芸員を目指す学生たちが参加しています。

初めに、横浜市歴史博物館学芸員の𠮷井大門氏がレプリカの掛け軸を使って、取り扱い方法や名称について説明。掛け軸に強い力を加えずに壁にかける動作や収納方法などを教え、学生たちは2人1組のペアでポイントを意識しながら繰り返し練習しました。その後、学生たちは𠮷井氏と篠原准教授による指導のもとで、博物館から借用した9本の掛け軸のドキュメンテーションを実施。巻き尺や拡大鏡などを使用しながら破損部分を確認し、𠮷井氏が実際に使用しているひな形に沿ってレポートに記入しました。𠮷井氏は、「博物館ではガラスケース内に展示しているので、今回のように露出展示を見るのはとても貴重な機会だと思います。間近で作品に触れることで、資料の繊細さや作品それぞれの違いなどを感じてほしい。調査する時には破損部や文字の解読だけでなく、歴史的背景など情報を読み取っていくことが学芸員に求められるスキルなので、いつどこで扱われていたものなのか意識してみてください」と語りました。

篠原准教授は、「実際の資料を扱うことで、座学では味わうことのできない緊張感を経験できたのではないでしょうか。また、調査だけでなく歴史資料のバックグラウンドを知ることによって、学芸員という仕事の本質を再確認する機会にもなったと思います。今後はプログラムを拡大して、展示・活用と学芸員が行う一連の作業を実施していきたい」と話しました。学生からは、「掛け軸は文化財の中でも特に繊細な歴史資料なので慎重に取り扱いました。掛け軸は旅館や飲食店などで目にすることもあるので、これからは意識して見てみようと思います」「博物館実習1の配信授業で掛け軸の取り扱いに関する映像は見ていましたが、実際にやってみると注意する点が多くあって難しかった」といった感想が聞かれました。