航海工学科航海学専攻の新谷教授が日本海運経済学会の学会賞(論文の部)を受賞しました

海洋学部航海工学科航海学専攻の新谷浩一教授がこのほど、日本海運経済学会の学会賞(論文の部)を受賞。10月17日に東京大学で行われた表彰式で賞状が授与されました。同賞は、海運経済を中心とする海上交通および海事産業の経済的諸問題に関する優秀な学術的業績を顕彰するためのものです。

受賞した研究テーマは、「Combinable containers: A container innovation to save container fleet and empty container repositioning costs(連結コンテナ-コンテナの保有と空コンテナの回送にかかる費用を削減するイノベーション-)」です。新谷教授は、これまで世界的貿易不均衡に起因する空コンテナの回送問題に対して、数理最適化技術を用いてコンテナ船社の主な経営資源である船舶やコンテナ自体の効果的な運用方法を明らかにする研究に取り組んできました。今回の受賞のもとになった研究では、空の状態の20フィートコンテナ2個を連結し、40フィートコンテナとして使用することのできる「連結コンテナ」の経済性に着目。連結コンテナをどのように運用すれば、空コンテナの回送費用やコンテナ保有費用を最小化できるのかを数値実験を通して検証しました。その結果、状況に応じて、20フィートのコンテナを連結、分離することで、空コンテナの発生を減らし、回送費用やコンテナ保有費用の低減につながることが明らかになりました。

新谷教授は、「昨年から続くコロナ禍や今年3月に発生した超大型コンテナ船のスエズ運河座礁事故により、私たちは短時間のうちに世界中の物資輸送が大きな影響を受けることを知りました。特に現在、空コンテナ不足や海上運賃の高騰による物流費用の増大によってモノの値段が押し上げられ、世界経済に負の影響を与えていることが問題視されています。コンテナ輸送に関する研究テーマはまだまだ尽きることがありません。今後もオリジナリティの高いテーマを発掘し、海事産業や同研究分野の発展に貢献できるよう研究に励んでいきます。また、本研究は主に、本学の2018年度特別研究期間制度(短期)による支援を受け、オランダ・デルフト工科大学での2か月間の滞在中に行ったものです。その支援に対してお礼を申し上げるとともに、今後も手厚い研究支援をお願いいたします」と話しています。