東海大学が今年11月５日付で東京都と締結した「沖ノ鳥島及び沖ノ鳥島周辺海域における研究調査実施に係る協定」に基づき、都職員や海洋学部の教員、大学院生、学生らで構成した調査団が12月２日に、静岡市・清水港から本学の海洋調査研修船「望星丸」（国際総トン数＝2174トン）で沖ノ鳥島周辺海域へと出発しました。
日本最南端に位置し東京都小笠原村に属する沖ノ鳥島は、日本の広大な排他的経済水域の根拠となる重要な国境離島として位置づけられています。都と本学による今回の調査は、同島周辺海域の維持・保全や利活用につながる手がかりを得ることを目的としたものです。本学からは、静岡キャンパス長の山田吉彦教授（海洋学部）を調査責任者、石川智士教授（同）を主席調査員として、教職員や大学院生、学生、上河内信義船長ら望星丸スタッフが参加。都職員や測量会社のスタッフらも合わせて計56名の調査団を結成して準備を進めてきました。
清水港を出港した望星丸は沖ノ鳥島までの最短航路を航行し、５日に現地に到着。ドローンによる島全景の撮影やAUV（Autonomous Underwater Vehicle）を使った海底地形の撮影、風速や気温などの気象調査、潮流、潮位などの海象調査、水温・塩分濃度、透明度などの水質調査を実施する計画です。また、生物サンプルの採取による生物相観測、マイクロプラスチック調査も行い、７日には10日の清水港帰港を目指して帰路につく予定です。
山田教授は出港を前に、「沖ノ鳥島では、国による定点観測等が実施されていますが、刻一刻と変遷を遂げ、予測不可能な変化が生じている可能性もあります。“現地の今”と資源の状況把握はきわめて有益です。国土を上回る広大な海域における断片的知見の充実を図るため、今回の航海では基礎的なデータを収集しますが、帰港後も研究者による分析を経て報告書にまとめ、市民の関心、理解につなげるよう積極的な活用を図ります」と話しています。
