東海大学高輪キャンパスに、「VR-Commons」-プロジェクション型VR技術による体感型共同学習システム-を試験導入

 情報通信学部では、清水建設株式会社が開発した「VR-Commons」を試験導入し、濱本和彦教授の担当する「バーチャルリアリティ・同演習」や「卒業研究」などの実授業で活用することで「VR-Commons」の実用化に向けたPoC(概念実証)に協力しています。

 VR-Commonsは、室内の壁と床面に疑似立体投影した映像コンテンツを利用し、グループ学習や体験型学習の場を創出するVRシステムです。利用者は、ゴーグル型ディスプレイ等のデバイスを装着せずに臨場感あふれる仮想現実の学習空間を体感でき、関連資料や教材を投影面に重ね合わせて表示することも可能です。また、複数のVR-Commons拠点をつないで映像コンテンツを共有できるため、遠隔地にいる共同学習者とも同一空間にいるかのような感覚で学び合うことができます。

 グローバル化やデジタル化の進展により、大学等の学校教育に対する社会ニーズが変容するなか、各教育施設は、従来の一方向的な講義主体の授業から、学生の能動的な学びを促すアクティブラーニングに教育の重点を移し始めています。アクティブラーニングを支援する環境整備の一環として、学校図書館ではIT機器や共同学習スペースを備えたラーニングコモンズを導入する動きが加速しています。一方、新型コロナウイルス感染症の流行を受け、今後、対面とオンラインのハイブリッド型授業の常態化が見込まれ、文部科学省は大学授業へのVR活用を支援する方針を打ち出しています。VR-Commonsは、こうした大学教育を取りまく環境の変化に即した新たな共同学習環境を提供することを目的に開発されたものです。

 VR-Commonsは、プロジェクタ、センシングシステム、カメラシステム、VRプラットフォーム、専用サーバー等から構成され、室内の壁3面と床面に投影した映像を同期させることで、没入型のVR環境を構築します。プロジェクション映像には、360度カメラで撮影した静止画・動画やBIMモデル等のCG画像を利用でき、グラフや図表などの関連資料も背景映像と重ね合わせて表示できます。

 ユーザーインターフェースには3Dモーションセンサーを採用し、利用者はジェスチャーで資料の呼び出し操作や移動操作を行うことができます。また、VR-Commonsは拠点間通信機能も備えており、遠隔地のVR-Commons拠点と学習空間を共有することもできます。共有空間には他拠点にいる人物のリアルタイム映像を表示できるため、空間を超えたグループ学習を行うことも可能です。

 担当する濱本教授は、「VRといえば、いわゆる『仮想』空間にアバタとして入って行動するものが考えられがちですが、VRは『現実空間をつないで人同士が空間を超えてコミュニケーションする』ことにより重要な意味があると考えています。VRコモンズにはその可能性があり、大いに期待しています。まずは高輪キャンパス内での実験から開始しますが、将来は各キャンパス間をつなぐ実験も行いたいと考えています。」とコメントされました。

本件に関する清水建設株式会社のニュースリリース
https://www.shimz.co.jp/company/about/news-release/2021/2021059.html