「“触れる”アートGINZA2022」を開催しました

教職資格センターでは1月23日から2月5日まで、東京都中央区・美術館ギャラリー青羅で「“触れる”アートGINZA2022」を共催しました。作品自体に触れながらアート本来の姿やユニバーサルなあり方を探求しようと、筑波大学(つくばアートメダルプロジェクト)が毎年主催している展覧会で、今回は、本センターの篠原聰准教授らの屋外彫刻メンテナンス活動を通じて交流のあった宮坂慎司氏(筑波大学芸術系助教)から参加の呼びかけがあり、共同での実施となりました。期間中は、神奈川県と東海大学が展開する「ともいきアートサポート事業(創作×地域展示)」の一環で平塚盲学校と伊勢原養護学校伊志田分教室の生徒たちが制作した作品や、笛吹ボトルを展示。また、本センターと北区文化振興財団との連携イベント「彫刻を触る★体験ツアー」で参加者が制作したアートメダルも公開しました。

2日には、全盲の文化人類学者として知られる広瀬浩二郎氏(国立民族学博物館准教授)が会場に訪れ、彫刻に触れながら作品を鑑賞。広瀬氏は、「私が盲学校に通っていたころには、プロのアーティストとともに作品を制作したり、作品が展示されたりする機会はありませんでした。障がいをもつ生徒たちは、この体験を通してアートの楽しみ方を知るとともに、都内の一等地にある会場で展示されたという自信を得ることができたのではないかと思います。インクルーシブ社会と言われていますが、まだ障がいへの偏見や特別視があるのが現状です。多くの人に座学やメディアなどを通してだけではなく、実際に作品に触れて理解を深める機会にしてもらいたい」と語りました。篠原准教授は、「作品に触れると、見た目だけでは分からなかった情報が得られ、作品や作者への理解がよりいっそう深まります。障がいを持つ方たちの作品は、多くの人々の目に触れる場が限られています。このような機会を増やし、誰もが芸術を楽しめるような活動を展開していきたい」と今後の構想を語りました。

ともいきアートサポート事業に参加してきた中郡梨子さん(教養学部芸術学科デザイン学課程4年次生)は「私たちサポートする学生も、生活の中でいかに目に頼って生活しているのかなど、多くの学びがありました。来場者の皆さんには『芸術とはこういうものだ』という枠にとらわれていない自由なアート作品に触れ、多様性を受け入れることの重要性を感じてもらえたと思います」とコメント。川﨑一史さん(文化社会学部北欧学科4年次生)は、「社会的に多様性を尊重する意識が広がっていますが、私たちも実際に作品展示に携わる中で、あらためて多様性や価値観などについて考える機会になりました。サポート活動全体を通して、『その人らしい生き方を認める社会の実現に向けて何ができるのか』と何度も考えてきました。4月からは市役所職員への就職が決まっているので、これまでの活動で学んできた価値観や考え方を大切にしていきます」と抱負を語りました。

また、今回展示した作品の一部は、3月1日から31日まで湘南キャンパスの東海大学松前記念館(歴史と未来の博物館)で開催する展示会「水・呼吸・いのちのかたち 手の世界制作-2」でも展示されます。