「ともいきアートサポート事業」による常設展示(第2期)が始まりました

神奈川県と東海大学が2020年度から取り組んでいる「ともいきアートサポート事業」 による障がい者アートの常設展示(第2期)がこのほど、神奈川県立青少年センター・スタジオHIKARIの交流スペースで始まりました。この事業は、県が掲げる「ともに生きる社会かながわ憲章」の理念の実現に向けて、障がいの程度や状態にかかわらず、誰でも文化芸術を鑑賞・創作・発表できる機会を提供するものです。本学からティーチングクオリフィケーションセンターの篠原聰准教授と学芸員を目指す学生たちが企画・運営に参加しています。

常設展示は、障がい者アーティストの作品をいつでも誰でも鑑賞できるよう県内の文化施設や商業施設などで通年で紹介され、今年度は県内で障がい者によるアート活動を支援している「社会福祉法人アール・ド・ヴィーヴル」「NPO法人studio FLAT(スタジオフラット)」「社会福祉法人翔の会」「NPO法人ハイテンション」に所属するアーティストの作品が定期的に入れ替えながら紹介されています。篠原准教授と学生たちは、7月31日に神奈川県立青少年センター・スタジオHIKARIの交流スペースで、厚木市で活動する「NPO法人ハイテンション」の作品の搬出・搬入・設営・展示作業に取り組みました。

学生たちは作品を搬入すると、森絵画保存修復工房の展覧会コンサベーター(保存修復技術者)を務める佐藤寛子氏とともに作品の状態点検調書を作成し、その後、株式会社東京スタデオのインストーラー(展示設営技術者)を務める山田雄一氏とともに設営・展示作業を開始。「NPO法人ハイテンション」のアートディレクター・神﨑千春氏と一緒に、全体のバランスを見ながら展示を微調整して完成させました。神﨑氏は、「このような地域に開いた活動は、学生の皆さんにとってかけがえのない経験になると思います。これからも共に活動を繰り広げられれば」と話しました。

初めて展示作業に携わった学生は、「何気なく訪れていた展覧会の裏側で、専門家がバランスなどを考えて展示作業に取り組んでいるのを知り、大変勉強になりました」と話しました。本事業を担当する神奈川県福祉子どもみらい局共生推進本部室共生企画グループ主任主事の山下大樹さんは、「4期目を迎え、“ともいき”という言葉とともに事業の内容や作品の持つ力強さ・魅力などが社会に浸透してきたように感じます。学生の皆さんがこれらの作品に触れ、展示活動に関わることで、さらに障がいのある人たちが隣にいることが当たり前の社会に近づいていけばよいと思います」と話しました。篠原准教授は、「学芸員を目指す学生たちにとって、博物館実習の前段階としてこのような展示作業の実践を通して施設の人々と交流し、多様なアーティストの作品に触れることは生きた体験となり、スキルアップの貴重な場にもなっています」と話しています。

なお、8月23日(水)からブランチ茅ケ崎2のサンノイチ・2階エントランスにおいて川崎市の「NPO法人 studio FLAT」に所属するアーティストの作品展示が実施されており、本学の学生たちはその設営・展示作業にも関わりました。