観光学部卒業生で大学院文学研究科文明学専攻研究生の二重作昌満さんがデジタルアーカイブ学会「第1回DAフォーラム」で「Best Presentation Award」を受賞

観光学部卒業後に大学院文学研究科文明学専攻(後期)を修了(博士<文学>を取得)し、現在は研究生の二重作昌満さん(指導教員=観光学部観光学科・田中伸彦教授)が、昨年12月19日にオンラインで開催されたデジタルアーカイブ学会の「第1回DAフォーラム」で「Best Presentation Award」を受賞しました。同学会は、21世紀日本のデジタル知識基盤構築に向けて、デジタルアーカイブにかかわる関係者の経験や技術を交流・共有し、その発展を目指して人材育成や技術研究の促進などに取り組むことを目的としています。例年行われている研究発表に加えて、新たにオンライン発表会形式をメインとした「DAフォーラム(中間研究発表会)」が開催されました。

二重作さんは、「オンライン開催における我が国の観光の変化と将来性」をテーマに発表。学部や大学院で学び、映像という知的財産を用いるコンテンツツーリズムの一環として『特撮ツーリズム』や『アニメツーリズム』の歴史を調べてきた二重作さんは、新型コロナウイルス感染症拡大下におけるレジャー観光の形態変化の調査に取り組み、感染防止策として急速に広まった観光を疑似体験する新たな開催様式「オンラインイベント」に注目。同学会のオンラインイベントや国際会議「ICICIC2021」などで、研究成果を発表してきました。

今回の発表では、日本におけるオンラインイベントに焦点を当て、対面型イベントとの比較による利点と欠点をまとめた実態調査について解説するとともに、WEBサイトやバーチャル空間の導入によって変化を遂げている観光の姿について発表。「オンラインイベントは『場所性』を持たないため、“気軽で参加人数に縛られない”“トークショーでSNSを用いて出演者に自身の声を届けることができる”など利点がある一方、“イベントを体感できない”“開催側と観覧側の両者の通信環境が整っていなければならない”といった欠点が明らかになりました」と解説するとともに、「オンラインイベントとインターネットによる動画視聴の違いを差別化することは困難ですが、期間を限定して開催していることから観光現象として捉えることができます。オンラインイベントは、サブスクリプションサービスを活用した開催形式なども取り入れ、さらに急激な増加が予想されるので、実態を整理・記録していく必要があります」とまとめました。

二重作さんは、「コロナ禍で多くが制限された中でどのような形式でイベント開催したかを後世に残すことで、また未来で同様の災厄が起きた際に先人の知恵として活用してもらうことに重点を置きました」と振り返りました。また、発表まで3名の教員からサポートを受けたことについて触れ、「平野葉一先生(文学部文明学科教授)は、国際会議『ICICIC2021』の際に助言を下さり、これまでの研究をさらに深めていくきっかけになりました。また、田中先生のゼミナールでは、所属する学生の前で発表のデモンストレーションを行い、事前に発表内容をブラッシングできました。さらに、水島久光先生(文化社会学部広報メディア学科教授)からは“テーマの設け方”などについてアドバイスを受けました。先生方のご指導のおかげで、より良い発表内容にできたと感じています。次は6月の第2回DAフォーラムに向けて“コロナ禍での開催された対面型イベントの現地状況”についてまとめていきます」と意欲を見せていました。