地球市民セミナー「地球市民のルネッサンス~AIと意識と倫理~」を開催しました

東海大学では2021年に締結した包括協定に基づき中部大学との共催で、12月9日に愛知県春日井市の中部大学で、地球市民セミナー「地球市民のルネッサンス~AIと意識と倫理~」を開催しました。3回目となる今回はAI技術の進展に伴う未来への展望を共有するとともに、地球市民としてのあり方を考えることを目的にテーマを設定。オンラインでも配信し、約400名が聴講しました。

初めに、中部大の竹内芳美理事長・学長があいさつに立ち、「AIの進歩は目覚ましく、学生たちは多くのことをAIがなす時代に生きていくことになります。セミナーを通して未来がよりよい方向に向かうためにできることを考える機会になれば」と語りました。続いて本学情報通信学部情報通信学科の中谷裕教講師が「脳とAIの比較から考えるAI時代の生き方」と題して基調講演。人間の脳の仕組みやAIの特性のほか、アメリカの哲学者ジョン・サールが提唱した、人間と同等の心や意識を持つ「強いAI」と持たない「弱いAI」についても解説しました。さらに将棋を通じた直感に関する研究を紹介し、「今年の新語・流行語大賞のトップ10に『観る将』がランクインしました。2008年ごろから使われている言葉ですが、AIが将棋の展開を予想し、インターネット配信では候補手や形勢も表示されるようになったことで、将棋を観て考える過程を楽しむ人が増えたのでは」と説明。「評価や分析はAIに任せ、人間は人生の目的に向かって努力することがAI時代の生き方として必要になってくるのでは」とまとめました。続いて中部大学創発学術院長の津田一郎教授が「AI研究の歴史から見た近未来社会におけるAIの物語」をテーマに基調講演し、AI研究発展史の経緯や利点と欠点などを解説し、AIは人類と地球に危害を与えてはならないといった「AI倫理三原則」の試案も提示。「AIは論理的で、人間は感情移入する生き物であるという点に注目して、AIを取り込んだ世界をいかにつくっていくかを考える必要がある」と語りました。

その後はパネルディスカッションを行い、本学文化社会学部文芸創作学科の倉数茂准教授が作家の視点から、中部大経営情報学部経営総合学科の梅川佳子准教授が哲学、同人文学部心理学科の川上文人准教授が人間とサルの笑顔の比較などから、AIについて解説。中部大理工学部AIロボティクス学科・AI数理データサイエンスセンター長の平田豊教授をモデレーターに、中谷講師と津田教授も加わって会場からの質問にも答え、AIの進化や感情、ロボットや自動運転などについて議論を交わしました。最後に本学の梶井龍太郎学長代理が、「セミナーを聞く中で、AIは人間が作るものであるという意識と協調性を持って考えていけばよりよいものになるのだと感じました。本学と中部大も協調し、2つの『強い大学』としてますます成長していきたい」と結びました。