学生の手によるハイブリッドロケットの開発に取り組む「学生ロケットプロジェクト(TSRP)」では今年3月、毎年恒例となっている北海道大樹町での打ち上げ実験に向け、新機体「H―51」と「H―52」を製作した。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止に。毎年夏に出場している秋田県能代市の「能代宇宙イベント」も開催されず、成果発表の場が失われた。
他大学や企業との交流会なども相次いで中止となる中、TSRPでは春からオンラインでの勉強会を始めた。広報を担当する田村和樹さん(工学部2年)は、「例年であればロケットの設計や製造に時間を費やしていたけれど、ロケットは精密機器なので基礎の勉強はとても重要。普段の活動ではおろそかになってしまう細かな部分も学べる機会となっている」と話す。
ほかにもブログの更新頻度を増やし、プロジェクトの概要やロケットの製造工程などを紹介。学生や市民、技術者など、幅広い層をターゲットに情報を届けている。
現在は勉強会で新しいロケットの設計図を作成中。目標は来年3月に予定している北海道での打ち上げ実験だ。「次も中止になる可能性が高いけれど、“何が起こるかわからない”状況はロケットの打ち上げと同じなので慣れている。今できることをやるしかないという考えはこれからも変わらない」と田村さん。打ち上げを再開できるその日まで、知識と技術を磨き続ける。