2019年10月14日 7番手から2日目をスタートし、周囲のチームと抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げています

レース初日をスタートのダーウィンから605km地点で終えた東海大学ソーラーカーチームは10月14日、早朝の日の出から充電を行い出発に向けた準備を行いました。午前8時ちょうどに第3コントロールポイント(CP)のテナントクリークに向けて佐川耕平総監督(工学部電気電子工学科助教)がドライバーを務めて再スタート。7番手の位置から約2分半前を走るドイツ「Team Sonnenwagen Aachen e.V」を追います。長い直線やアップダウンが続くエリアを快走し、午前11時ごろAachenを抜き、6番手に順位を上げました。その後もペースアップしながら前を追走。そのまま6番手で第3コントロールポイント(CP)のテナントクリークに到着しましたが、5番手のアメリカ「University of Michigan Solar Car Team」とは2分、4番手のオランダ「Top Dutch Solar Racing」とは3分と差を縮めました。

30分の義務停車の後、ドライバーを特別アドバイザーのシッド・ビッカナーバーさん(NASA ジェット推進研究所)に交代すると、ここからチームは周囲のライバルと抜きつ抜かれつのデッドヒートを繰り広げます。発信時にAachenに先行を許してしまいますが、コースに出た後は巡航スピードを上げて猛追。ペースを落としたオランダ「Top Dutch Solar Racing」をパスして順位を回復します。さらに勢いそのままにAachen、Michiganも追い抜き、4番手までジャンプアップ。その後は、スピードを増してきたAachenに再逆転を許し僅差で第4CPのバロウクリークに到着しましたが、駐車とドライバーの降車に時間を要したためさらにMichiganに13秒先着され、6番手となりました。

午後5時までの走行時間は学生ドライバーの小野田樹晃さん(工学部動力機械工学科3年次生)がドライブ。スタートに手間取るMichiganをかわして5番手に上がると、順調なドライビングで1327km地点まで到達しました。この場所は宿泊に適さないため、チームはマシンの整備を行った後、約30km手前にあるティーアイ・ツリーという街に移動。キャンプを張って翌日に備えています。小野田さんは、「今大会でのドライビングは初めてでしたが、指令車の指示に沿って適切に走れたのではないかと思います。機械班長としては、後輩たちも積極的にマシンのメンテナンスにかかわってくれているので、空力設計の優位さと合わさることでマシンの性能を引き出し、この位置でレースを進められていることにつながっているのではないかと考えています。明日以降もドライバーとしてもメカニックとしても全力を尽くしていきたい」と充実した表情を見せました。

また、電気班の一員としてバッテリーの管理や運用に携わる宇都一朗さん(情報理工学部コンピュータ応用工学科2年次生)は、「昨日のアクシデントでバッテリーにトラブルが起きた際には、自分がかかわった部分なのであせりましたが、幸いすぐに回復し今日も問題なく走行できました。まだレースは半分も終わっていないので、この先も大きなトラブルが起きないように万全を期していきます。展開も混戦になってきていますが、シリコン太陽電池を使っているチームでは東海大だけが上位を狙える位置にいます。タイム差を見てもまだまだチャンスはあるので、決して弱気になることなく、悔いのないレースをして笑顔でダーウィンのゴールにたどり着きたい」と前を見据えました。

レースの指揮を執る木村英樹監督(工学部電気電子工学科教授)は、「トップグループのポジションで走れていることはシリコン系太陽電池を使う陣営としては善戦しているといえます。気象条件が味方した部分もありますが、車体の状態もよく2017年の同大会2日目の到達地点を約80km上回りました」とここまでの展開を総括。後半戦に向けて「現在は4位集団の中にいますが、この先は強風が吹く区間や雲の動きなど不確定要素も多く、展開を読めません。ただし、それら気象条件の変化を掴み、トラブルなく走り切ることが上位を狙うためにも大切になってきます」と語っています。