東海大学と東京都市大学では9月10日に、東京都市大世田谷キャンパスを拠点としたハイブリッド形式で2024年度研究推進セミナー「東海大学―東京都市大学共同SDセミナー」を開催しました。東京都市大と本学は、2018年度に研究交流に関する包括協定を締結し、両大学が所有する実験機器の共同利用や教員同士の共同研究のほか、FD・SDセミナーの開催など多彩な連携活動を展開しています。今回は、「政策と大学」をテーマに、研究推進アドバイザーやURA教員(University Research Administrator)が、研究・学術政策ならびに研究設備・機器関連政策と大学の関連について解説しました。
当日は、東京都市大の柴田随道副学長によるあいさつに続いて、東京都市大総合研究所研究推進アドバイザーの鈴木章文氏が登壇。「文部科学省 科学技術・学術の動向と大学の関わり」と題して講演し、「大学は常に社会が抱える課題に教育と研究を通じて真摯に向き合い、その成果を社会に還元することで社会から信頼と支援を得られます。そのためには、科学技術・学術政策関係機関などから発信される情報をそれぞれの立場で収集する“術”を持つことが大切」と説明するとともに「内閣府・総合科学技術・イノベーション会議」や「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)2024」の内容から大学における戦略・戦術マネジメントの方策の重要性を語りました。
また、本学URA教員の荒砂茜准教授(マイクロ・ナノ研究開発センター)は、「データから見る我が国の研究設備・機器の共有化と大学のコアファシリティ推進の現状」をテーマにエビデンスデータに基づいた設備導入の必要性について講演。「研究推進において設備・機器の導入は欠かせませんが、その過程は各大学の自助努力に依存するところが大きく、課題になっています」と現状を分析し、先行大学の事例を紹介しながら「取得年数や耐用年数、メーカーサポートの状況などの設備自体のデータはもちろん、利用率や成果のデータなどを効率的に集約し、可視化するための研究基盤IRの構築が求められています」と話しました。さらに、「複数大学間の連携による仕組みづくりが検討されるケースも増えてくることが予想され、各機関での設備マスタープラン策定を踏まえた戦略的・計画的な整備方針をまとめる必要がある」とまとめました。
閉会にあたり、本学の稲津敏行副学長(理系担当)があいさつし「本日は、両大学から100名を超える教職員が参加しています。文部科学省をはじめとした科学技術・学術政策関係機関の動向について一人ひとりが理解して研究力を向上させていく必要性を改めて感じました。ぜひ今後も両大学で連携を深め、多彩な形式で共同事業を推進していきたい」と語りました。