理系教育センターの白澤講師が教育システム情報学会2022年度全国大会で研究会優秀賞を受賞しました

理系教育センターの白澤秀剛講師が、8月24日から26日にかけて新潟工科大学で開かれた「2022年度教育システム情報学会22年度全国大会」(オンラインとのハイブリッド開催)で、研究会優秀賞を受賞しました。同学会は、教育・学習のためのシステムに関する学術的情報の交換と研究・開発・利用を支援し、教育・学習と産業の発展に寄与することを目的としています。白澤講師は21年度特集論文研究会において、「遠隔授業不適切学習行動と学習動機づけとの関係分析」(共同研究者:岩屋裕美/川崎市立看護短期大学看護学科講師)と題した研究成果を発表しており、21年度に行われた全7回の研究会の中から特に優秀な発表として、今大会で表彰されました。

白澤講師は新型コロナウイルス感染症の拡大以前から、学生が主体的に学習に取り組む頻度や姿勢を段階的な指標で示す「主体的学習分類尺度」の開発・研究を行い、20年以降は、コロナ禍により多くの授業で導入された遠隔授業にも応用した研究を続けています。今回受賞した分析調査では、多様な学部の学生(有効回答数415件)に対し遠隔授業の取り組み方に関するアンケートを実施し、全46問中「ライブ配信の授業に参加しているが視聴していない」「授業の冒頭だけ聞き途中で退席することがある」「課題提出に必要な動画を見ていない」といった「不適切学習行動」を問う11問の回答をピックアップ。行動を起こす動機も合わせて調査した結果、不適切学習行動を行う学生は、内発的な動機づけが低く、単位が欲しいからや減点を避けたいからといった外発的な動機づけが優位であることを数値で示しました。白澤講師は、「不適切学習行動に焦点を当てた研究はほとんど行われていません。対面授業よりも学生の主体性が求められる遠隔授業の導入によってその授業運営に悩んでいる教員も多く、研究会では発表したデータに対して共感・納得する感想を多くいただきました。不適切学習行動を抑制するには、その行動では学習効果が低く、点数が下がったり単位が取れなかったりすることを示すと同時に、教員が学習の意義や面白さをしっかりと伝えていなかなければならないと感じています」と語っています。

また、今回の受賞について、「教育システム開発の支援につなげたいという思いで発表したので、賞をいただいたことはとても驚きました。調査で実施したアンケートの設問は、学内で定期的に開催されているFD研究会で先生方が話していた内容をもとに作成したので、教育現場で働く研究者に身近な話題であり、『こういうことを知りたかった』という気持ちにマッチしたのではないかと思います。主体的学習分類尺度は、自ら学習に取り組めず困っている学生を見つけるために開発したので、検証データをもとにシラバスやカリキュラムの作成、学生の特性に合わせた履修選択などに活用してもらいたい」と話しました。