健康スポーツ科目の授業形態をリニューアルし、ニュースポーツや講義などを取り入れています

スポーツプロモーションセンター(SPC)が開講する一般体育科目の1つである「健康スポーツ科目」の授業形態を、今年度からリニューアルしています。健康スポーツ科目は、「生涯スポーツ理論実習」と「健康・フィットネス理論実習」の2つの授業で構成しており、2009年度までは選択科目でしたが、全学生のQOL向上などを目的として10年度から必修科目となっています。

生涯スポーツ理論実習では「誰もが楽しめるスポーツ」をテーマに据え、運動着に着替えることなく実践できる3つのニュースポーツを用意。グループに分かれて、地図と参考写真をもとに決められた時間内でキャンパス内に設けたチェックポイント前で写真を撮って得点を得る「ロゲイニング」、ヨーロッパで生まれたスポーツでパラリンピックの正式種目でもある「ボッチャ」、日本で高齢者向けに考案された「グラウンドゴルフ」に取り組んでいます。また、オンデマンド配信による計6回の遠隔授業では、男子柔道部副監督の井上康生教授(スポーツプロモーションセンター)や、男子バスケットボール部監督の陸川章教授(同)ら各競技で実績を残してきた教員が、それぞれの競技の特徴などを講義。スポーツへのかかわり方の多様性や価値観・概念について考えを伝えます。

健康・フィットネス理論実習では、筋力系体力測定や専用のポールを使いながら歩く「ノルディックウォーク」など、体の使い方を学ぶ実技に取り組むとともに、遠隔授業での講義を通して生活習慣や心身の健康などについて学びを深めています。受講学生からは、「ロゲイニングやノルディックウォークでキャンパスを回る授業は、建物の場所を知る機会になるとともに、グループで協力する中で同級生との仲が深まりました」「大学生になると生活に自由な選択が増えるからこそ、健康や運動習慣などでは自己管理が重要となるとあらためて感じました。講義で学び、実技で体験することで理解が深まっています」といった声が聞かれています。

2019年度までのカリキュラムでは、生涯スポーツ理論実習はサッカーやバドミントンなど2つの実技種目に取り組み、健康・フィットネス理論実習は体力測定や筋力トレーニングによる実技とスポーツに関する筆記試験を行ってきました。新型コロナの感染拡大を受け20年の春学期中はキャンパス内への入構制限のため対面による授業が開けない時期が続いたため、健康スポーツ科目は独自の教科書をベースに、健康科学やスポーツ理論に関するリポートを作成する遠隔授業に変更。同年の秋学期からは、学生間の交流や学内施設の活用のため、感染対策を徹底したうえで計14回の授業の内3回は少人数グループでの実技を再開。生涯スポーツ理論実習ではロゲイニングやボッチャを、健康・フィットネス理論実習ではノルディックウォーキングなどの新たな実技を取り入れました。また、一般体育科目に関する特設サイトを立ち上げることで、スムーズな授業内容の共有や学生のグループ分けが確認できるようコロナ禍への対応を重ねてきました。21年度からは実技を6回へと拡大し、今年度からオンデマンド配信による遠隔授業を取り入れた現在のカリキュラムへと展開していきました。

本センターの川邊保孝准教授は、「コロナ禍以前から実践が中心の健康スポーツ科目に講義を取り入れることは検討していましたが、よくも悪くもコロナ禍を受けて遠隔授業を軸とした必修科目を開講することとなり、状況を踏まえながらよりよい授業を模索してきました。実技と講義両面のアプローチから、学生たち自らのスポーツへのかかわりや健康の捉え方の奥行を広げていってほしいと考えています。また、これまで身体に障がいを抱える学生には個別のクラスを設けていましたが、運動強度の調整が可能な実技を取り入れたことで一般の学生と一緒に受講できるようになりました。“誰もがスポーツを楽しめる”インクルーシブな仕組みの構築を目指し、今後も学生の声を取り入れながら、さらにQOLを高められるカリキュラムとなるようブラッシュアップを続けていきます」と話しています。