東海大学では、8月21日、22日に東京ビッグサイトで開催された「大学見本市2025~イノベーション・ジャパン」(主催:国立研究開発法人科学技術振興機構)に研究シーズを出展しました。この催しは、全国の大学や公的研究機関などから創出された研究成果の社会還元や技術移転の促進、実用化に向けた産学連携等のマッチング支援を目的に開催されている国内最大級の産学連携イベントです。今回は6分野291件の出展があり、2日間で11,000人が来場。本学からは工学部と医学部から2名の研究者が、特許を取得した新技術を紹介しました。

「カーボンニュートラル・環境」分野には、窪田紘明准教授(工学部機械工学科)が「部材の厚みを自在に制御するハイドロフォーミングの最新技術」をテーマに出展。さまざまな機械部品の中空構造部材(チューブ材)の加工に適した技術「チューブハイドロフォーミング」において、部材各部の金型との摩擦状態と板厚変化を自在に操る最新技術を紹介。ブースには多くの企業関係者らが訪れ、窪田准教授と研究室に所属する4名の4年次生が丁寧に説明しました。朝比奈祐之介さんは、「分かりやすく説明できるようミニチュア模型を作ってきました。初めて聞く人にも分かりやすく伝える工夫は、今後に生かせる貴重な経験です」と話しました。ブースを訪れた機械部品メーカーの方は、「環境先進国では導入が進みつつある技術が、日本でさらに進化して実用化に近づいていることを知り大いに期待が高まりました」とコメント。窪田准教授は、「技術の社会実装に向けて多様な企業の方から生の声を聞ける絶好の場です。学生たちがアイデアを出し合って多彩なプレゼンテーションの方法を考えてくれたので、この機会により多くの人に知ってもらえれば」と話しました。
「健康・医療」分野には、住吉秀明准教授(医学部医学科)が「組織と一体化する新しいバイオマテリアル(人工皮膚)」をテーマに出展。皮膚欠損の再生医療に用いられる人工真皮について、従来品に比較してより優れた透水性と細胞生着性と耐久性を持ち、実際の真皮のような再生組織を再現できる発明品の特徴をアピールしました。ブースでは住吉准教授の下で学ぶ五十嵐真緒さん(工学部4年次生)も説明を担当。「多くの企業関係者と話し、他大学の研究発表にも触れて大いに刺激を受けました」と話しました。住吉准教授は21日に「ショートプレゼンテーション」にも登壇し、再生医療分野の幅を拡げる画期的な技術の概要や背景、展望について説明。会場には多くの企業関係者や研究者らが訪れ、熱心に聴講しました。住吉准教授は4回目となる出展を振り返り、「これまで、“ミズクラゲ”や人工真皮といった多様な分野の研究者と出会い、企業の方と特許や実用化など産学連携について学んできたことが今日の成果につながっています。今後も“人の役に立ってこその技術”であることを忘れず、医工連携をはじめ総合大学として他学部の連携に積極的に取り組む本学の利点を生かして研究に取り組んでいきたいと思います」と話しました。


