湘南キャンパスで10月25日、26日に、「第10回UNESCOユースセミナー」(主催:東海大学ユネスコユース、東海大学国際学部・教養学部)を開催しました。毎回、地球規模の課題を一つ選んで「からだと心と頭を使って学ぶ」ことを目的にしていて、今回のテーマは「カリブ海とラテンアメリカの文化・芸術と脱植民地化の運動」です。
プエルトリコからカリブ海諸島の文化交流促進や世界のさまざまな地域との交流を目的に活動する「ヴェルデ・アグアカテ財団」のロシオ・テハダ氏、コロンビア出身でスペイン在住のアーティスト、クリスチャン氏、ブラジル在住のアーティストである清水礼子氏らを招き、多様なプログラムを展開。小貫大輔教授(国際学部)が指導する「多文化共生論」受講生や、湘南キャンパスで活動するToCoチャレ「Beijo me liga」 のメンバーおよび卒業生、これまでUNESCOユースセミナーに関わってきた方々や、ワークショップの予行演習のときから協力してくれたフランス学園の生徒さんたち、ラテンアメリカにルーツを持つ地域の人々など、2日間の宿泊型イベントに約70名が参加しました。
1日目は、南米チリ発祥のダンス「ビオダンサ」やプエルトリコ音楽のワーク、「プエルトリコと脱植民地化」をテーマにレクチャーなどを実施。レクチャーの講師を務めたロシオ氏はプエルトリコの歴史に触れ、「カリブ海の先住民たちはスペイン、イギリス、オランダ、フランスといったヨーロッパの国々に支配され、プエルトリコの場合はスペインの統治を経て現在はアメリカの統治下にあり、未だ独立していない地域です」と現状を説明しました。重ねて、“脱植民地化”とは何か、さらにその思想や独立運動に影響を与えたポストコロニアル理論の先駆者であるフランツ・ファノンについても言及。「プレーナ」というプエルトリコの伝統音楽や、サルサ、メレンゲ、バチャータなど、カリブ海の音楽やダンスを紹介し、参加者皆でダンスも体験しました。

2日目は、前日に続いてプエルトリコ音楽のワークを今度はペアダンスで楽しみ、湘南キャンパスで活動する書道研究会の学生らによるワークショップ、巨大な絵を描くワークなどを実施しました。書道研究会のメンバーがパフォーマンスを披露し、参加者は書道体験やグループに分かれての大きな共同作品制作にも挑戦。同研究会の倉田和奏さん(工学部3年次生)は、「海外の方たちに書道を紹介する絶好の機会。私たちの活動と書道の楽しさを少しでも体験してもらい、多くの学生とも知り合うことができてよかった」と話しました。

また、初日の夕食はブラジル料理のフェイジョアーダを、2日目の昼食はペルー料理のアヒ・デ・ガジーナを取り寄せ、さらにプエルトリコの「モフォンゴ」(クッキングバナナを杵で潰す伝統料理)をみんなで作って食べるなどして、ラテンアメリカの文化を「お腹から体験する」こともしました。ペルー料理を作ってくれたのは国際学部1年次生の河上マユミさんとそのお母さんで、「こんなにたくさん作ったのは初めてだったので大変でした。でも、参加者の皆さんに『美味しい!』と言ってもらい、私のルーツとなる文化を体験してもらえて、とっても嬉しかったです」と語っていました。
本セミナーの準備を中心となって進めてきた原琴菜さん(国際学部4年次生)は、「運営には湘南・品川両キャンパスの学生が参画しており、なかなか集まれず苦労しました。しかし、皆で協力することの大切さ、一つのイベントをつくり上げる大変さと楽しさも実感できました。セミナーでは多様な背景を持つ人たちと交流できたうえに、カリブ海の音楽やダンスを通してプエルトリコの人々の思いや情熱を身近に感じられる貴重な体験となりました」と話しました。ロシオ氏とクリスチャン氏は、「東海大生たちのチームワークは素晴らしいものでした。一緒にダンスや書道を楽しみ、心が温かくなりました」と笑顔で話しました。学生たちを指導した小貫教授は、「音楽ワークや巨大絵の制作を通して、参加者が皆で作り上げる一期一会の体験でした。それは、オノヨーコさんが“ハプニング”と呼ぶ芸術表現のような時間でした。その感動を忘れず、世界のあちらこちらで未だ起きている少数民族への文化的抑圧や、そこから自らを解放しようという社会運動に思いを馳せ、皆でプエルトリコに愛を送りましょう!」と締めくくりました。





