IAEAの専門家を講師に迎え原子力国際基準研修コースを開講しました

東海大学では高輪キャンパスで2月23日から25日まで、大学生や企業の技術者らを対象とした「原子力国際基準研修コース」を開講しました。国際原子力機関(IAEA)が定める国際基準を習得する機会として、文部科学省「平成25年度原子力人材育成等推進事業補助金」に採択された本学のプログラム「原子力国際基準等を基盤とした多層的な国際人材育成」の一環で昨年度から開いており、今回は約90名が受講しました。

23日の開講式では、文部科学省研究開発局原子力課の増子宏課長が、「国内でもニーズが高まっている原子力の国際基準を学ぶ上で、このプログラムは大変有意義なものです。この機会を有効に活用していただきたい」と挨拶。期間中はIAEAの5名の専門家が、「IAEA安全基準の強化の動向と基本安全原則」や「施設と活動に対する安全評価」をテーマに講演しました。

25日に行われたセッションでは、東京電力福島第一原子力発電所の事故が国際安全基準に与えた影響や、原子力管理施設に求められるセキュリティ、事故防止への取り組みをIAEA原子力安全・セキュリティ局のドミニク・デラットレ氏やIAEA原子力施設安全部門のハビエル・イジェラ氏らが解説。続いて日本原子力研究開発機構の千崎雅生氏が「核不拡散・セキュリティの動向」をテーマに講演し、原子力開発の歴史や原子力の平和利用に向けた核不拡散の取り組みを紹介しました。

その後、国際教育センターの広瀬研吉教授が「原子力の国際的枠組み―原子力安全に関する条約、原子力損害賠償制度及び原子力基盤整備について―」と題して講演。「原子力の安全を守る条約は、安全の水準を向上させるためのものと、緊急時に対応するためのものが両輪となって役割を果たしています」と語り、1986年のチェルノブイリ原子力発電所の事故を契機に、原子力事故に対する援助に対する条約が整備されてきた経過や賠償制度の枠組みを説明しました。

閉講式ではドミニク氏が、「熱心に聞き入る皆さんの姿から、原子力に対する極めて高い関心を感じました。このプログラムを継続することで、国際安全の基準に関する知識をより多くの方々に伝えていきたい」と述べました。受講者からは、「原子力の安全を守る枠組みと世界基準をより深く知ることができました。この貴重な経験を今後の活動に生かしていきたい」といった感想が聞かれました。

IAEAの専門家を講師に迎え原子力国際基準研修コースを開講しました

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