【九州キャンパス・札幌キャンパス】九州キャンパスに文理融合学部を新設 札幌はキャンパスの特性生かす2学部を堅持

九州キャンパス

経営と基盤工の2学部を統合
農学部は学科名称を変更

kyushu525.jpg 東海大学が2022年に予定している全学的な改組改編計画「日本まるごと学び改革実行プロジェクト」で、九州キャンパスに新たに文理融合学部が3学科体制で設置される。また、農学部は学科名を変更するとともに23年度に完成予定の「臨空校舎」で専門課程が行われる計画となっている。新体制の展望を、荒木朋洋九州キャンパス長をはじめ各学部長に聞いた。

「キャンパス全体として『熊本で東海大学がどう地域に貢献できるか』を考えたとき、キーワードは『農業県・熊本』『アグリ』」と話す荒木キャンパス長。「農学部はもちろん、文理融合学部でも、『農業経営』や『アグリ・ツーリズム』『IT農業』といった取り組みを展開することで農業県・熊本に貢献できる本学の特色として使命を果たしたい」と意気込む。

文理融合学部は、現在熊本校舎にある経営学部と基盤工学部を統合する形で設置される。経営、地域社会、人間情報工学の3学科体制で、地域社会の要望に応える人材の育成を図る。
経営学部経営学科の流れをくむ新しい経営学科では、現在設置されている「企業経営」「スポーツビジネス」「アグリビジネス」の3コースを継続し、地域からのニーズに応えていく。地域社会学科は、観光・サービスの観点や心理・広報メディアの知識とスキルを有するとともに、国際理解を促進するための語学能力やグローバルな視野を育む。
人間情報工学科では、自然と調和した上質な情報化社会の実現や地域のQOL向上に寄与できる人材の育成を目指す。現行の基盤工学部医療福祉工学科で展開されている臨床工学技士の資格取得に向けた教育は、改組後も希望学生に向けて続けられる。

3学科共通科目としてコンピューターを用いた授業も計画。「人工知能(AI)やビッグデータ、IoTといった先端技術を学ぶことで、文系理系双方の幅広い知識と専門分野の深い知識の両輪を持ち合わせた人になってもらいたい」と基盤工学部の藤本邦昭学部長。
経営学部の木之内均学部長は、「文理融合学部と農学部が一体感を持って活動することで大きな価値を生み出す。農学部や人間情報工学科で得た知見・技術に、地域社会学科での研究を通じて人や地域の情報を入れ込み、経営学科がビジネスに結びつける―その発想が本キャンパス最大の役割になる」と語る。

学科の教育内容を明確化
23年度に臨空校舎が完成

応用植物科学科が「農学科」、応用動物科学科が「動物科学科」、バイオサイエンス学科が「食生命科学科」となる農学部。「各学科の教育内容を学内外により伝えられるよう明確化を図ることが狙い」と岡本智伸学部長。農学科は、作物生産科学や植物生命科学を柱に、生態系との調和を踏まえた持続的農業を考えていくため、植物病理(医)学も現行のバイオサイエンス学科から農学科が扱うよう変更される。岡本学部長は、「食生命科学科は、学問が人々のQOL向上にどのようにつながっているのか、『食と健康』や『予防医学』が要素として入っていることをより見えやすくした」と語る。

また、農学部では1、2年生を対象とした基礎的な教養教育は熊本校舎で実施され、実習や研究などの専門課程は、阿蘇くまもと空港に近い宇宙情報センターの敷地を転用して新設される「臨空校舎」で行われる計画だ。阿蘇実習フィールドでは、高い機能が求められる地域特産のあか牛や伝統的な品種の生産などがより高度化されて残される。岡本学部長は、「消費地帯である熊本、農業の現場である阿蘇、世界とつながる臨空と、3つの拠点を生かしていきたい」と話している。


札幌キャンパス

生物学部の定員を増加
地域連携のさらなる充実も

22年度の改組改編で札幌キャンパスは既存の生物学部と国際文化学部の2学部を堅持。国際文化学部デザイン文化学科が募集停止となるものの、4学科体制で、よりキャンパスの特色を生かした教育・研究が展開されていく計画となっている。改組改編後の展望を網野真一札幌キャンパス長・生物学部長らが語り合った。

生物学部は生物学科、海洋生物科学科とも5人ずつ定員が増加され、新しいカリキュラムも始まる。網野キャンパス長は、「生物学部の前身である生物理工学部では微生物や植物をターゲットにバイオテクノロジー系を生物工学科で扱っていました。生物学部にドラスティックな変化を遂げましたが、動物系の分野が手薄であったことは否めません。教員も増員して、新カリキュラムへの対応を図ります。教育・研究ともに幅広くバランスのよい学部学科を目指す」と話す。

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今年度から生物学部に着任した佐藤陽子教授は、「山口県の大学から生物学部に移ってまだ間もありませんが、北海道は生物の研究者としての研究材料が身の回りにたくさんあり、学生たちの学びにもよい環境だと感じています。生物学科の授業では、大きく分けて生態系と生命科学系の2分野を扱いますが、新カリキュラムでは両系統で共通して取り組める実習を考えていきたい」と意欲を語る。
国際文化学部では、デザイン文化学科の学生募集が停止となるが、「これまで培ってきた学びのリソースは、地域創造学科を中心に引き継いでいく」と平木隆之学部長。「22年度の新カリキュラムでは、社会の課題解決に学びをつなげます。社会から求められている場所で勉強することで学生たちにやりがいを感じてもらえれば。パブリックと結びつけることで学びをパワーにしていきたい」と話す。
国際文化学部で教鞭をとるマーク・ハミルトン教授は、「札幌は自然豊かでアットホームな環境。しかし、学生間、教員間、教職員間、地域……とそれぞれに壁があるようにも感じています。その壁を打ち破ろうとこれまでも学生からアイデアを募ってきました。今後は付属札幌高校が隣接している環境も生かし、『辻』のような多世代交流の場所もつくっていきたい」と語る。
佐藤教授とハミルトン教授は今年度から国際交流に関する授業を合同で開いている。「チームティーチングを取り入れることで教員間の壁をさらに減らし、教育の充実につなげたい」と話す。
「学生たちには自分の環境をよくするために、問題解決方法まで考えてもらいたい。自らアイデアを出し、積極的にチームワークに参加してもらえれば」とハミルトン教授。佐藤教授は、「この大学での4年間で自分の可能性を見つけてほしい」と語っている。像をクリックすると拡大表示されます。KYUSHUSAPPORO.jpg※画像をクリックすると拡大表示されます。