【東京キャンパス】渋谷校舎と高輪校舎を再編②

観光学部が高輪へ移転、情報通信学部は1学科体制に

観光学部
社会の変化に対応できる
ビジネスマインド持った人材を育成

東海大学が2022年度の実施を構想している全学的な改組改編「日本まるごと学び改革実行プロジェクト」で、観光学部は現在の代々木校舎から情報通信学部が置かれている高輪校舎へと移転する。さらに高輪には湘南校舎の政治経済学部から経営学科が経営学部、教養学部国際学科が国際学部として置かれることになる。新しい環境でどのような教育・研究活動が展開されるのか、藤本祐司学部長に聞いた。観光学部・藤本学部長 (1).jpg

10年度に開設された観光学部は、1年次は湘南で基礎科目を中心に履修し、2年次以降は代々木に学びの場を移してより専門的な教育・研究に取り組んでいる。大学で幅広い教養を身につけるとともに、観光学を専門的に学んだ人材が日本社会の将来を担うという理念のもと、旅行、レジャー、まちづくりなど、さまざまな分野に及ぶ観光産業について、「観光文化」「サービス・マネジメント」「レジャー・レクリエーション」「地域デザイン」の4分野でカリキュラムを構成。複数分野の学習も可能となっているほか、フィールドワークや国内外での研修も充実している。
地域連携活動にも積極的に取り組んでおり、観光にとどまらず、地域活性化、健康・スポーツ振興などの分野でも貢献してきた。藤本学部長は、「今回の改組改編で本学部は高輪校舎に拠点を移すことになりますが、他の学部と比較して変化は少ないといえるでしょう。これまで渋谷区と多様な連携活動に取り組んできたこともあり、今後は港区・高輪地区でのコラボレーションをどのように実現させていくかが課題となります」と語る。

他学部との連携も図り
多様な知識を身につける

一方で、高輪地区はJR東日本の新駅「高輪ゲートウェイ駅」がオープンするなど都内最大級の都市開発が進められ、多数の企業が立地していることもあり、「社会の速い変化への対応が求められる観光分野にとって、実際のビジネスの現場を目の当たりにできる最適な環境」と藤本学部長。高輪では情報通信学部や経営学部、国際学部と同一の校舎となることも「大きなメリット」と力を込める。
「AI時代の到来は観光産業にも大きな影響を与えており、”人間によるホスピタリティー”を発揮するためにも知っておかなければならない知識は限りありません。さらにインバウンド時代の観光業では国際感覚は不可欠です。ホスピタリティー産業や観光による地域活性化を担う人材には、マネジメントへの理解も欠かすことはできません。恵まれた立地を生かすとともに、4学部の協力体制を構築することで、社会の変化に対応できる人材の育成につながると期待しています。観光の現場のオペレーションだけにとどまらない、ビジネスマインドを持った学生を社会へと送り出し、日本の観光にイノベーションを生み出していきます」

Pick Up●
「新時代の観光」を学ぼう
観光学科 小澤考人准教授ozawa.jpg

観光・ツーリズムの魅力の一つは、海外など「異世界に触れること」。学生には4年間でできるだけ多様な異世界との出会いを経験し、やがて観光の提供者として、自らが感じた魅力を社会に発信してもらいたい。最先端のテクノロジーや国際情勢、経営を学べる環境で「新時代の観光」に対応できるよう、学部の垣根をこえた新しい科目も検討していきます。

情報通信学部
多様な分野を横断的に理解
文理融合でイノベーションを

2022年度に実施が構想されている改組改編で、従来から高輪校舎に置かれていた情報通信学部は現行の4学科体制から情報通信学科の1学科体制で定員は240人と変更される計画となっている。IT企業が集まる品川・港エリアにキャンパスを構え、現場から学べる産学連携型教育を展開してきた同学部。新体制における教育・研究活動の展望を濱本和彦学部長が語った。hamamoto.jpg

08年、東海大学の新たな情報系教育の拠点として高輪校舎に設立された情報通信学部。画像・信号処理システムなどIT基盤技術を中心に学ぶ情報メディア学科、自動車などに用いられる組込みソフトウェアを学ぶ組込みソフトウェア工学科、情報マネジメント能力を培う経営システム工学科、最先端のネットワーク技術に取り組む通信ネットワーク工学科の4学科体制で、実践的なカリキュラムを展開。社会で即戦力となる情報通信技術者の育成に取り組むとともに、学生が国際的に活躍できるようコミュニケーション能力や語学力の向上にも注力している。
「本学部は、情報通信分野に求められる『ソフトウェア』『組込み』『セキュリティ』『社会での実装、経営への活用』について、高度な教育研究活動を展開してきました」と濱本学部長は語る。現在の日本における情報通信関連企業では、何か一つの分野に特化し、それを売り物にしているような世界的企業はあまり存在せず、大手企業ほどソフトやセキュリティなど多様な分野をカバーし、その企業に入社した社員は一から学んでいるのが実情だという。「それはすなわち、大学における教育でもそれぞれの分野を横断的に理解した人材が求められているということであり、本学部の情報通信学科1学科体制への移行は、そのニーズに合致したものになります」

デジタル全盛の時代に
アナログ面も重視

改組改編後には4学科の教育・研究内容は一つにまとめられ、「ソフトウェア」の実習に「組込み技術」や「セキュリティ」もカバーするような内容が検討されている。「多様な分野を効率よく教えられるよう、教員も工夫を重ねていく」と濱本学部長。また、「改組後の本学部には従前より多様性を持ち、さまざまな志向の学生が集うと予想しています。これまででは考えもつかなかったような”とがった感性”の若者もいることでしょう。我々教員も、授業内容も含めて柔軟に変化し、学生の多様化に合わせて教育の形を変えなくてはならないのです」と語る。
改組後はこれまでの1校舎1学部体制に、社会科学系の3学部が移設される。「一般的に、『知と知の距離が遠いほどイノベーションは起こりやすい』といわれます。一見関係ない分野でも”これとこれを混ぜ合わせたら面白そう”という発想が大切。東海大学が建学以来志向してきた文理融合といえるでしょう。デジタル全盛の時代だからこそ、アナログなコミュニケーションを重視することで、イノベーションを起こせる人材や、デジタルとアナログ両方を理解できる『デジログ人材』を育てていきたい」

Pick Up●
バランスのとれた教育を
通信ネットワーク工学科 高山佳久教授takayama.jpg

これまでも4学科の教員が所属の枠をこえて意見交換や連絡を密にとってきたので不安はありません。改組改編は、教員の専門性が混ざり合い、バランスのとれた教育プログラムを整備する機会になるのではないでしょうか。学生たちには、世の中に何が求められているのか把握し、解決の方策を考え、技術や経験を活用できるようになってほしいと考えています。

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