東海大学情報技術センターが「RAPIDMAP workshop」を開催しました

東海大学情報技術センターでは9月16日に、東京・霞が関の東海大学校友会館で「RAPIDMAP workshop」(共催:日本写真測量学会、日本リモートセンシング学会、後援:科学技術振興機構(JST))を開催しました。これは、同センター所長代理で情報理工学部長の長幸平教授が代表を務める国際研究チームが、JSTの「戦略的国際科学技術協力推進事業」の公募に応募し、2012年度に採択された研究テーマ「災害復興を目的としたリモートセンシングと空間情報技術による被災情報図の即時作成と配信:RAPIDMAP」に関する中間報告会として実施したものです。当日は長教授やチームに所属する日欧の研究者のほか、国土地理院(GSI)、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究者が発表を行い、大学や企業の研究者など約80名が参加しました。

この研究プロジェクトは、ヨーロッパ各国と日本との技術科学協力を推進するために欧州連合(EU)が企画した国際協力活動プロジェクト「CONCERT-Japan(Connecting and Coordinating Europe Research and Technology development with Japan)」の一環として、JSTの採択を受けて2012年度から実施しています。日本からは本学のほか、日本大学、株式会社パスコの研究者が、ヨーロッパからはスイス工科大学、イタリア・トレントFBK財団、ドイツ・ダムスタット工科大学の研究者や大学院生が参加しています。地球観測衛星や小型無人航空機(UAV)が撮影した被災地の画像を迅速に処理、解析して地図化し、インターネットやタブレット端末などを使って救援チームなどにいち早く被災地の情報を提供するシステムの開発を目指しています。

ワークショップでは、JSTのMartin Gadsden氏の開会のあいさつに続き、同プロジェクトに参加している研究者など11名がこれまでの成果を報告。「RAPIDMAPプロジェクトの概要」をテーマに発表した長教授は、熊本県にある東海大学宇宙情報センターに設置されている小型Xバンドアンテナで受信した画像の高度自動処理システムを紹介。「受信後、約15分で画像をホームページに公開できるのは世界トップクラスの速さ」と説明しました。また、今年8月に土砂災害が起きた広島市安佐南区の被災地の画像を例に、「災害があった地域の被災前後の画像を即時に表示することができれば、迅速かつ効果的な救援活動につながる」と解説しました。

今回のワークショップについて長教授は、「これまでは各国のチームが個別に研究を進めてきましたが、それぞれが着実に成果を上げていることを確認できました。特に、ヨーロッパの博士課程の学生たちが精力的に研究を進めている様子がわかってうれしく思っています」とコメント。また、ダムスタット工科大学のUwe Soergel教授は「今日は関係者が一堂に会したことで、研究対象の絞り込みや作業手順の調整ができました。今年11月の最終報告会では、インパクトのある研究成果を発表したいと考えています」と語っています。

なお、発表テーマと発表者は以下のとおりです。
※敬称略
◇「防災における地理空間情報の役割」 宇根 寛(国土地理院)
◇「ALOS-2の最新の成果」 島田政信(宇宙航空研究開発機構)
◇「レーダーリモートセンシングの最新動向」 Uwe Soergel(ダムスタット工科大学)
◇「高度イメージマッチング手法」 Fabio Remondino(トレントFBK 財団)
◇「ETHのリモートセンシングプロジェクト」 Manos Baltsavias(スイス工科大学)
◇「RAPIDMAP プロジェクトの概要」 長 幸平(東海大学情報技術センター)
◇「安価な UAV を使った迅速災害モニタリング」 若林裕之(日本大学)
◇「災害監視のための MR」 佐藤俊明(株式会社パスコ)
◇「被災調査を目的とした高分解能航空写真の自動処理」 Ewelina Rupnik(トレントFBK 財団)
◇「複合画像の自動幾何補正」 Charis Lanaras(スイス工科大学)
◇「SAR による震災モニタリング」 Chia-Hsiang Yang (ダムスタット工科大学)

東海大学情報技術センターが「RAPIDMAP workshop」を開催しました

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