福井篤教授が113年ぶりに世界で2個体目の深海魚を確認しました

海洋学部水産学科の福井篤教授(生物生産学専攻)の研究室では、このほどデメニギス科の深海魚「Dolichopteryx anascopa」(ドリコプテルクス・アナスコパ)を採集・確認しました。本種は、1901年にA.Brauer博士がインド洋ココス諸島付近で採集された1標本に基づいて報告されました。今回の標本は本種の2個体目の採集記録であり、113年ぶりの確認となります。この研究成果は日本魚類学会の学会誌「Ichthyological Research」(8月5日付・オンライン版)に掲載されました。

福井教授らが確認したDolichopteryx anascopaは、2007年に北西太平洋西マリアナ海嶺で行われた独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の「白鳳丸」によるニホンウナギの産卵場調査航海中に採集されました。この個体は特徴の多くの特徴がDolichopteryx anascopaに類似していたことから、福井教授らは1個体目の標本が保管されているドイツ・ベルリンのフンボルト大学自然史博物館を訪問。綿密に観察や比較を行いました。その結果、背鰭と尾鰭の間にある小さな脂鰭の形状などの特徴も一致したことにより、Dolichopteryx anascopaと同定し、2個体目として発表しました。

A.Brauer博士が報告した標本はホロタイプ(完模式標本)となっていますが、破損しているため種の特徴は十分にわかっていませんでした。今回、福井教授らによって破損していない標本が採集されたことにより、Dolichopteryx anascopaの形態の全貌が明らかになりました。

福井篤教授が113年ぶりに世界で2個体目の深海魚を確認しました
今回確認したデメニギス科Dolichopteryx anascopa(ドリコプテルクス・アナスコパ)の標本(標準体長33.5mm)