マイクロ・ナノ研究開発センターの最終年度報告会を開催しました

東海大学マイクロ・ナノ研究開発センターでは2月23日に湘南キャンパスで、最終年度報告会を実施しました。文部科学省の平成26年度私立大学戦略的研究基盤形成事業の採択を受けた研究プロジェクト「高分子超薄膜から創成する次世代医用技術」(代表者=理学部物理学科・喜多理王教授)の採択期間が最終年度を迎えることから、これまでの成果を学内外に報告するとともに、外部審査員による評価を受ける機会として実施したもので、文部科学省高等教育局私学助成課長の井上睦子氏を来賓に迎え、同センターの連携企業や学内関係者、学生ら約120名が参加しました。

開会にあたって井上氏と梶井龍太郎副学長があいさつ。続いて、喜多教授が登壇し、プロジェクトの全体像を紹介しました。「工学部応用化学科の岡村陽介准教授が開発し、生体をはじめさまざまな場所に接着剤なしで吸着する性質をもつ高分子超薄膜作成技術を核に、新規の超薄膜を『創る』チームと、さまざまな分野への応用を研究する『試す』チーム、その性質を解析する手法を研究する『知る』チームに分かれ、相互に連携しながら取り組んできた」と報告。さらに、株式会社ニコンと株式会社ニコンインステックとの協力のもと、バイオ系と産業系の光学機器を備えたイメージング研究センターを2016年に設立したほか、定期的に講演会やセミナーを開き、高分子超薄膜の技術を社会に還元する大学発ベンチャー・株式会社チューンが誕生するなどの成果を説明。「本センターを通じてさまざまな企業との連携が広がり、インド・サストラ大学、サラクワ大学、名古屋工業大学と学術交流協定を締結するなど、大学間の連携も広がりを見せています。今後は健康分野や体育分野、人文学など、さまざまな分野の研究者とも連携し、異分野融合のチーム力を強化したい。幅広い分野の研究者が協力する協奏的アート&サイエンスを推し進め、社会全体のQOL向上に貢献していきたい」と語りました。

続いて、「創る」「試す」「知る」の各チームの代表者がこれまでの活動と今後の展望を紹介しました。「創る」チームでは岡村陽介准教授が、破断強度を向上させた層状超薄膜や複雑な形状部位にも貼れる裁断化超薄膜の技術、ロール・ツー・ロール法を使った大量製造などの成果を説明。「試す」チームでは、工学部精密工学科の槌谷和義教授がマイクロ流体デバイスの技術を使った動物を用いない疾患モデル作成や血栓クリーナー評価のための血管モデル、極微小領域pHセンサに関する研究を紹介しました。また「知る」チームでは、大阪大学の樺山一哉准教授(元 東海大学糖鎖科学研究所)が、広帯域誘電分光システムを活用した超薄膜の物性評価技術やナノシートによって生じる微細環境が神経細胞の遺伝子発現に与える影響に関する研究について説明しました。

終了後には、外部有識者の審査員による講評も実施。続く懇親会では、同センター所属の研究者と学生が研究成果を報告するポスターセッションも行いました。

同センターの稲津敏行所長は、「私立大学戦略的研究基盤整備事業の採択を受け、本学の中で異分野融合による研究拠点を形成できたことが大きな成果。本センターの活動を通じて、研究プロジェクトのメンバーのみならず、医学や文系、体育学系、健康学などさまざまな分野の研究者とも共同研究が進んでおり、学際領域での連携拠点としても一定の役割を果たすことができたと考えています。採択期間終了後はその連携をさらに広げ、幅広い分野の研究者をセンターの所員に迎えるなど、よりオープンな環境の中で次のステップに進んでいきたい。また各研究室の学生はもちろん、特定研究員として本センターに所属してきた若手研究者もさまざまな学会で学術賞を受賞するなどそれぞれの分野で活躍しています。その理念も継承し、若手人材の育成にもこれまで以上に貢献できるセンターにしていきたい」と語っています。

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