産官学連携事例

総合大学の強みを生かし、幅広い領域で連携を進める

 東海大学は研究推進部を中心に、組織的な産学連携を推進しています。企業や地域と連携し、大学の知の財産を産業界にご提供していくことで、社会貢献を実現し続けることが重要だと考えています。
 本学は、8つのキャンパスで多様な教育研究活動を展開しており、多岐にわたるニーズに的確に対応できる土壌が整っています。全国に広がる研究拠点のメリットを活かし、地域によって異なるニーズにも柔軟に対応しています。
 例えば、農学部では地元企業と連携し、高アントシアニン含有のサツマイモ品種である「ムラサキマサリ」を用いた廃棄物ゼロの完全循環型醸造技術の確立を目指す研究を行っています。焼酎の醸造後に生じた焼酎かすを用いてもろみ酢醸造試験などを実施しています。
 その他、ナノテクノロジーやライフサイエンスといった幅広い領域で数々の連携が進行し、大手企業のみならず、中小企業との間で多くの成果を生み出しています。

事例1 地域連携 産官学連携センターが主催するイベント活動の開催

 東海大学は、企業や自治体といった地域社会に向けて、実用化が大いに期待される本学の研究成果を発信することで、産学連携や技術移転の機会につなげることを目的にイベントを主催し、開催しております。
 産官学連携センターでは、「産学連携フェア」を主催し開催しております。基調講演では企業や公共団体の方をゲストにお招きして産学連携の重要性や連携の手順、事例などをご紹介いただきました。また、ポスターセッションでは研究者自らが説明に立ち、企業が研究者と直接交流できる場を提供しております。
 また、静岡県の協力をいただき開催している「「農・食・健」QOLセミナー」や、首都圏農業系学部を有する5大学で開催している「アグリビジネスフォーラム(近年は新技術説明会として実施)」など、農業・水産系の研究シーズの紹介にも力を入れております。

事例2 技術移転 タマネギ含硫アミノ酸配合サプリメント「T-アリイン」の開発

 東海大学が日清製粉グループの日清ファルマ㈱に、大学が保有する特許技術(特許第4172488号「テストステロン増加剤、およびネギ属植物処理物の製造方法」)の技術紹介と実施許諾を行い、希少なタマネギアリインを配合した栄養補助食品「T-アリイン」が誕生しました。

タマネギアリイン…イソアリイン、シクロアリイン、メチインの総称

事例3 技術移転 「カニクイザルMHC遺伝子解析」技術のバイオメディカル研究への活用

 東海大学の遺伝子解析技術を基本とし、㈱イナリサーチとともに新たなDNAタイピング法を確立しました。イナリサーチ社ではこの技術を活用して主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)を統御したカニクイザルの販売と、サルMHC遺伝子のタイピング検査を行っております。

事例4 共同研究 三保の地下海水を利用したアワビの陸上養殖

 東海大学では、地元の企業、自治体と連携し、静岡県三保地区の地下海水を利用した陸上養殖システムの開発を進めています。
 静岡県三保地区の地下海水は、年間の水温がほぼ一定(17~21℃)で一般細菌も少ないため、陸上養殖に欠かせない温度調整や薬品投与のコストをかけずに安心安全な食材提供をできることが最大のメリットです。海洋学部では、安定して大量のアワビを養殖するため、地下海水でアワビの稚貝を育てる研究や、飼育棚の形状を工夫し、一度に多くのアワビを飼育するための研究をしております。これまでに、3年で7センチ程度まで高密度で育てる技術を確立し、連携企業が試験販売を行いました。

事例5 技術移転 コンクリートの養生工方法の実用化

 東海大学と東洋建設㈱は共同で、硬化が進行し始める時期のコンクリートの上面を対象とした新規の養生方法を開発し、特許出願を行いました。現在、東洋建設が施工する防波堤や桟橋の一部に、本技術が活用されています。
 本学研究者が、かねてより建設分野で生分解性高分子ゲルを活用することを検討していたところ、同社がコンクリートの養生材料としての利用に興味を持ったことで共同研究がスタートし、今回の技術を発明しました。
 この技術は、コンクリートを型枠に打ち込んだ後、「生分解性高分子ゲル」を表面に散布することで、ひび割れの防止、強度・耐久性の向上、環境負荷の軽減といった効果が得られます。

事例6 マテリアル提供 新規トランスジェニック(Tg)マウス作製法の開発

 東海大学では、遺伝子機能解析等において頻繁に使用されているトランスジェニック(Tg)マウスの新規作成法(PITT法)を開発しました。本手法を可能とする種マウス、及びそれを用いて作製したTgマウスの提供依頼を多くいただいております。
 PITT法でマウスを作製することにより、遺伝子の挿入位置やコピー数を制御することが可能となり、導入遺伝子の発現にばらつきが出る課題を解決し、資金や労力といったコストの削減、使用するマウス個体数の削減が実現しました。そのほか、本手法では組織特異的な発現をするTgマウスや狙った遺伝子の発現を抑制するノックダウンマウスの作製にも成功しています。
 本手法を論文や学会で発表したところ、各研究・教育機関より高い評価を受けており、国内外の研究者からの要望にお応えしてマウスの提供を行っております。

事例7 ノウハウ許諾 メンタルチェックの実用化

 東海大学が保有するメンタルチェック方法について、㈱エフ・ビー・アイにその使用を許諾しています。同社は、これを基に開発した「誰でも・気軽に・簡単にセルフチェックできるメンタルチェック」コンテンツの提供を行っています。
 本学はシステムの基盤となるメンタルチェック方法をノウハウとして㈱サクライに使用許諾しました。同社は、これをASP(Application Service Provider)サービスとして提供するためのシステム開発と、販売等を含めたコンサルティングを担当し、提供を始めました。その後、本事業が独立し、現在は㈱エフ・ビー・アイが本事業の開発および提供を行っています。
 携帯端末やパソコンからwebにアクセスして答えるだけで、いつでも気軽にセルフチェックが可能になりました。現在全国117の自治体を中心にこのサービスが提供されています。
 自分でも気付きにくい心の健康状態を理解することで、メンタルヘルスへの関心を高め、病気のサインの早期発見、ならびに早期改善・治療のきっかけになることが期待されます。

事例8 技術移転 直線翼直軸型風力発電システムの実用化

 東海大学が保有する直線翼直軸型風水車・流体発電機などの特許技術をエネルギープロダクト㈱に実施許諾しています。本技術を用いて、同社では「直線翼垂直軸型風力発電システム」の設計・製作販売事業が展開されています。
 実機は湘南校舎17号館屋上にも1台設置されており、実際に風車が回転し、発電している姿を見ることができます。また、この風力発電システムや発電状況について、校舎内のドトールコーヒーショップのエントランスホールで展示と紹介を行っております。

事例9 共同研究 カテーテルの改良協力

 東海大学は、朝日インテック㈱が販売しているマイクロカテーテルのScrew形状改良に協力し、共同開発いたしました。同社製品のScrew形状改良アイデアを大学から提案し、同社は試作品作製を担当しました。
 カテーテルの形状については、国内外で意匠権を取得しています。

事例10 技術移転 皮膚ガス用サンプラーの技術協力

 東海大学は、ジーエルサイエンス㈱の製品を用いた皮膚ガス用サンプラーを提案し、製品開発に貢献いたしました。
 同社が販売している捕集材の用途について、新しい使い方を模索していたところ、本学研究者による皮膚ガス成分の収集・分析の研究を発見。大学から皮膚ガスの測定データや捕集方法などの知見を提供し、用途の最適化を行いました。