現代教養センターの田中彰吾教授が著書『生きられた<私>をもとめて』で第12回湯浅泰雄著作賞を受賞しました

2018年12月19日

現代教養センターの田中彰吾教授がこのほど、著書『生きられた<私>をもとめて―身体・意識・他者―』(北大路書房・2017年5月刊行)で、人体科学会の「第12回湯浅泰雄著作賞」を受賞しました。人体科学会は、従来の学問分野の境界をこえ、学際的・総合的な視点から人間性の本質について科学的に研究することを目的としています。同学会の創立者で初代会長を務めた哲学者・故湯浅泰雄氏の名を冠したこの賞は、学会の理念にふさわしい優れた学術研究と実践活動を顕彰するもので、「著作賞」「論文賞」「実践活動賞」の3賞が設けられています。

『生きられた<私>をもとめて―身体・意識・他者―』は、自己アイデンティティを「私が私であることの根拠」と理解し、「身体」「意識」「他者」の3つの観点からその根源を解き明かそうとした学術書です。ラバーハンド・イリュージョン、離人症、ブレインマシン・インタフェース、心の理論など、心の科学がもたらしたさまざまな知見を織り交ぜながら「自己とは何か」の探究を試みています。同著は人体科学会から、「自己の成立について、身体・意識・他者の3つが根源的に不可欠な条件であることを現象学的視座から示した優れた論考」と評されました。

田中教授は、「栄えある賞をいただき、大変ありがたく思います。本書は初めて一般向けに書いたもので、東海大学で担当している3、4年次生を対象とした『アイデンティティ論』の講義がベースになっています。授業では、文系理系を問わず、全く予備知識のない学生にもしっかりと理解して興味を持ってもらえる内容を目指してきましたが、今回の受賞はその成果でもあると思っています。2013年から14年、16年から17年にかけてドイツ・ハイデルベルク大学で研究や執筆活動に専念する環境を整えていただいた教職員の皆さんと、熱心に授業に参加してくれた学生たち、人体科学会の先生方に心から感謝しています」とコメント。

また、東京工業大学大学院社会理工学研究科の大学院生だったころに湯浅氏に出会い、氏の自宅で開かれた少人数の勉強会に参加した経験を振り返り、「湯浅先生は、文系・理系に関係なく、あらゆる知識を総合したときに見えてくる人間の姿や潜在能力に関心を持ち、『人間とは何か』を生涯にわたって問い続けていました。私も今回の受賞を機に、それを受け継ぎたいとあらためて思っています。東海大学は現在、全学をあげて『QOLの向上』に取り組んでいます。今後は、文科系から医療、健康、体育、理工系など多様な研究領域が有機的に結びついた総合的な研究所をつくり、大学の柱となる文理融合型の研究を進めていければと考えています」と抱負を語っています。

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