大学院工学研究科建築土木工学専攻2年次生のエン・ハクウさん(指導教員:藤原覚太講師=建築都市学部土木工学科)が、7月22日から25日まで山口県下関市で開催された「第60回地盤工学研究発表会」で優秀論⽂発表賞を受賞しました。エンさんは「砂の粘着力に着目した小規模掘削工事に関する検討」をテーマに発表しました。
小規模掘削工事は、小規模な道路工事など主に深さ3m以下の掘削を伴う工事で、土砂の崩落を止めるために通常は軽量鋼矢板を用いた仮設土留めが行われます。仮設土留設置で簡易的な設計計算をする場合、土の粘着力を無視して計算されますが、エンさんは壁高が小さいために粘着力の土圧に対する影響が相対的に大きくなることに着目。粘着力を考慮した場合における土留め壁や補助部材に作用する荷重の変化について検討しました。


模型実験では、地盤材料に豊浦砂を使用し、軽量鋼矢板の代わりにアクリル板を使い、アクリル板の曲げひずみと水平変位を計測。実験の結果、掘削量が増えるほど変位は大きくなりました。さらに模型実験とその再現数値を解析し、土の粘着力が大きくなるにつれて切梁の軸力と軽量鋼矢板の曲げモーメントが減少することがわかりました。乾燥砂を対象とした模型実験と数値解析の結果を比較して解析ツールの再現精度を確認。砂の粘着力は複雑な現象のため扱いが難しく、どのように考えるかが今後の課題として重要であると指摘しました。
中国新疆ウイグル自治区出身のエンさんは、本学工学部土木工学科を卒業後、大学院では藤原講師のもとで研究に取り組んできました。「来年3月に帰国し、石油関連会社への就職が内定しています。東海大で6年間学んだことを生かし、安全を確保し安価な工事に貢献できる技術者になりたい」と話しています。