建築学科の学生が「建築電脳戦――AI×建築学生最前線」で入賞しました

工学部(建築都市学部)建築学科3年次生の宮下湧気さんと鎌田美春さんが10月21、22日に、東京都・建築会館ホールで開催されたワークショップ「建築電脳戦――AI×建築学生最前線」に参加しました。日本建築学会の主催で、全国から集まった約50名の学生たちが10グループに分かれ、生成系AIを使ってテーマに沿った作品を制作するものです。最終日にはファイナルプレゼンテーションも行われ、宮下さんらのグループが銀賞、鎌田さんらのグループが審査員個人賞(石津優子)を受賞し、AIが生成した架空の審査員による講評なども行われました。

初日はまず、セッション「生成系AIに何が可能か」が行われ、「ChatGPT」「Midjourney」「Stable Diffusion」などについて説明があり、実際に生成系AIを操作しました。その後は5名1組のグループに分かれ、「極限環境ニ建築セヨ。―もし、人間がそこに暮らすとしたら。」をテーマに作品を制作。宮下さんらのグループがまとめた「海上都市移住計画」は、地球温暖化の影響による海面上昇を受け、海洋研究者が海上生活を試み、政府も支援して海上移住プログラムが進んで都市が出来上がるストーリー。プレゼンでは、Midjourneyで人物画像を動画化し、架空の会社「鈴木海洋開発株式会社」の海洋研究者が説明するなど工夫を凝らすとともに、2023年から2100年までの細かな計画が考えられている点が評価されました。

宮下さんは、「ChatGPTに『極限環境』と入力してもあまり具体的な物語は生まれず、自分たちで海面上昇をキーワードにしようと決め、『極限状態の海』をテーマに設定してからストーリーを生成してもらいました。図面は手描きしましたが、色付けや画像範囲の拡張、雰囲気の異なる画像をかけ合わせて新しいものを作るなど、AIのスピードがなければ2日間で完成までもっていくことはできませんでした」と振り返りました。「ホワイトボードソフトウェア『miro』での情報共有や、作品の色付けにAIを使うなど、学んだことを学生生活に生かせています。自分は設計するときに頭が固くなりがちなので、人間とは異なるAIの柔軟な発想は志向の幅を広げてくれます」と話していました。

一方、鎌田さんらのグループは、「深海の運命―人類最後の拠点」と題した作品を制作。こちらもChatGPTに「極限状態」と入力し、「砂漠」「宇宙」「深海」といった候補の中からAIが選んだ「深海」をテーマに決め、さらにストーリーを生成させて深海に都市を作る物語を完成させました。「AIにキーワードを入れて画像を作るとSFっぽくなりがちで、リアリティが欠けてしまうのが課題でした。ストーリーを少しずつ修正し、画像はPhotoshopやillustratorで作り込むなど、人間が手をかける大切さも感じました。最初のイメージを作るのはAIが圧倒的に速いので、うまく使いこなせれば作品の幅も広がるのでは」と学びを得ていました。