
建築都市学部建築学科の山川智教授がこのほど、「第63回空気調和・衛生工学会賞」の技術論文部門で論文賞を受賞。5月15日に東京都・明治記念館で開かれた表彰式に、研究を担当した卒業生とともに出席しました。
山川教授は2021年度、22年度、24年度にも同学会で受賞しており、今回は株式会社九電工をはじめ、日本ファシリティ・ソリューション株式会社、株式会社三菱地所設計とともに取り組んできた「差圧一定変流量制御の低差圧化による省エネルギーに関する研究」に関する功績が評価されました。建物で使用される電気エネルギーから変換された「熱エネルギー」を再利用する「リサイクルエネルギー」の活用を提唱する山川教授は、病院を中心に建物で消費する年間のエネルギー収支を0にするZEB化(Zero Energy Building)に取り組んできました。今回の研究もその一環で、既存施設の空調設備の運用を見直し、省エネ化する手法を確立。2022年度から23年度にかけて研究室の学生と共に病院での実証を繰り返し、約90%の省エネを達成しました。山川教授は、「建物ではポンプで冷水や温水を送って冷暖房を動かしていますが、冷温水が足らなくなることがないように余裕を持って運用し、使われなかった分はバイパスして再利用されるのが一般的です。私たちが確立した手法を使い、建物の日常的な冷暖房利用状況を分析すれば、過剰供給を抑えられ、設備を改修しなくても省エネにつなげられます」と説明します。山川教授は現在も各企業と実証を続けており、「省エネルギーフィッティング」と称してその普及に努めています。
卒業研究として実証に取り組み、表彰式にも出席した建築学科卒業生の前田愛果さん(22年度卒・株式会社セイワ設計)、笹生龍誠さん(同・株式会社森村設計)、木村慈恵子さん(23年度卒・戸田建設株式会社)は、「在学中の地道なデータ分析が実を結び、これほどの賞をいただけて光栄です。社会に出て実際の現場でも学生時代に学んだ知識を活かして理解を深められています。今後も経験を生かして業務に励んでいきたい」と語りました。



