【おしえてセンセイ! 1】“まちづくり”を支える材料「コンクリート」ってどんなもの?


A. 石と砂を使ったお好み焼きみたいなものです

建築都市学部土木工学科・馬場勇介先生

コンクリートはビルや橋、トンネル、ダム、海や河川の護岸のほか、上下水道の管や戸建て住宅の基礎など、私たちの身近にあるさまざまなものに使われています。私たちが暮らす“まち”を形づくる“まちづくり”に欠かせない存在です。その主な原料は、石と砂。そこに、石灰石(チョークの原料)や粘土などを粉にして高温(約1,450℃)で焼いた粉(セメント)と水を混ぜて作ります。キャベツや干しエビに、小麦粉と水を混ぜて作るお好み焼きやナッツの入ったチョコ棒みたいなものだと思ってもらうとわかりやすいでしょう。ちなみに、セメントを原油から作る接着剤に替えると、道路の舗装に使う「アスファルト」になります。

コンクリートの特徴は何といっても、安く作れて、運びやすく、長持ちすること。しっかり作れば100年持つともいわれています。本当は、石で作るのが一番長持ちするのですが、石の塊を加工するのも、運ぶのもとっても大変。だから、使う場所の近くで採った砂利や砂を、セメントを接着剤として固め、思い通りの形に仕上げる技術が使われるようになりました。その歴史は古く、古代エジプト、ギリシャ、ローマ時代にさかのぼり、日本には1800年代後半に導入されました。

一見いいことづくめのコンクリートですが、地球温暖化対策という視点で見るとちょっと困った問題があります。先ほども述べたように、セメントを作るときには石灰石を高温で焼かなければなりません。この時に大量の二酸化炭素が出てしまいます。そのうえ工事現場で作業効率を上げるために、どうしても使われずに廃棄されるコンクリートが出てしまうのです。

そこで私たちの研究室で進めているのが、廃棄されるコンクリート(戻りコン)を再利用する技術の研究です。戻りコンの再利用技術については企業などとの共同研究により、一度混ぜ合わせたセメントと砂などを分離させて、再利用できるようにする技術の開発に成功しました。今は国内でおよそ10社がこの再生したセメントを導入してくれていますが、今後もっと研究を進めて、より多くの企業が使える技術にしていきたいと考えています。そのほかにも、環境負荷の低減効果をさらに高め、二酸化炭素を吸収させた再生セメントの研究も進めています。

さてここでちょっと、皆さんの身の回りを見渡してみてください。毎日使う水道はコンクリートの管を伝って家に届けられています。戸建ての家であれば基礎が、マンションなら家全体がコンクリートでできています。皆さんが暮らす“まち”の全体像を思い描き、形にしていく、そんな“まちづくり”も実は土木の仕事なんです。日本は災害の多い国です。だからこそ、安心安全なまちの姿を描き、新しい技術を開発する、そして多くの人と協力しながらまちを作っていく土木技術者の力がより一層大切になります。土木のやりがいはまさにこの点にあります。多くの人たちの当たり前の日々を守り、多くの人が夢を実現できる未来のまちを実現するため、一緒に勉強しませんか。


ばば・ゆうすけ 1975年、東京都生まれ。東海大学大学院工学研究科博士課程後期修了。博士(工学)。広島大学工学部助手、BASFジャパン株式会社 建設化学品事業部(現 シーカ・ジャパン株式会社)を経て、2024年より現職。専門は、社会基盤(土木・建築・防災)、土木材料、施工、建設マネジメント。