
建築都市学部建築学科4年次生の山内菜摘さん(指導教員=野口直人講師)が、2月23日に横浜市役所で開催された「神奈川県7大学1専門学校 卒業設計コンクール」で審査員賞「玉田誠賞」を受賞しました。JIA 関東甲信越支部神奈川地域会が主催する「JIA神奈川建築WEEK『かながわ建築祭2026』」のプログラムとして実施されたもので、実社会で活躍する建築家と学生のふれあいの場をつくることなどを目的に毎年開かれています。
山内さんの作品「井荻の街にしわを寄せる 背面化された善福寺川に現れる新たな街の顔」は、地元にほど近い東京都杉並区の井荻小学校と周辺の住宅地をフィールドにしています。小学校の敷地内を横切る善福寺川は、安全性への配慮から周辺の動線が制限され、護岸や塀によって街との関係が分断されており、公共空間でありながら都市の裏側のような存在になっていることに着目しました。そこで川を中心に、都市と建築の境界部分に対して空間的な操作を行い、これまで使われていなかった川沿いの空間を人が関われる公共空間に変えるとともに、川辺に面した小学校や住宅のあり方を再編。 小学校では階段や床を川側へと広げることで、校内の動線を川へと開きながら子どもたちの遊び場となる空間をつくり、住宅地では壁をわずかに内側に後退させることで、私的でも公的でもない中間的な共有空間を生み、子どもや住民同士のゆるやかな交流が生まれる関係性を提案しました。
山内さんは3年次生の後期の授業で「個人的興味を分析し、建築のカタチを考える」という設計課題で、紙や布に生まれる「しわ」という現象に着目しました。しわによって平面に歪みや余白が生まれ、距離や関係性が変化することに興味を持ち、この考えを4年次生の卒業設計へと発展させました。 「しわを寄せることで、均質だった都市に余白や奥行きができ、最短距離だけではない人の関わり方が生まれると考えました。均質なグリッドで区切られた都市の中で、曲線を描く善福寺川を都市に残された歪みとして捉え、この川をメインに設計しようと考えました」と振り返ります。また、「野口先生の研究室では、既成概念にとらわれない思考や、自分の軸、視点を深く掘り下げる重要性を学びました。今回のコンクールで審査員の方に評価していただけたことは大きな励みになりました。この経験を大切に、これからも自分の視点や軸を持ちながら建築を考えていきたい」と話していました。