第2回教育セミナー「子どものこころを育てる関わり方」を開催しました

児童教育学部では11月15日に湘南校舎で、2022年度第2回「教育セミナー」を開催しました。「教育セミナー」は、今年4月に開設した本学部の理念や教育・研究活動を周知するとともに、教員、保護者、施設職員らを対象に教育・保育現場の「いま」に合わせた課題、教育事例を本学科の教員が紹介・助言するものです。第2回は庄司一子教授が講師を務め、「子どものこころを育てる関わり方」をテーマに講演。湘南校舎を主会場にオンラインでも配信し、約25名が聴講しました。

教育臨床学や教育心理学、カウンセリングが専門の庄司教授は、「子どもが育つ、育てる環境として最も大切なのは安全と安心です」と語り、学校教育の現場で増えている暴力やいじめ、不登校、自殺について説明。2019年に小中高校生の自殺者数が過去最多を更新したことに触れ、「いじめや不登校にはそれぞれの事情や背景があり、一概に対応するのは難しい。治す、解決する方に目が行きがちですが、これ以上増やさないことも重要」と語りました。「心が育つ、心を育てるために大切なこと」として、親が子どもの世話をする中で情緒的に結びつく「アタッチメント」について解説し、「生後3カ月までは人の顔や声に、3カ月以降から特定の人物に反応するようになり、6カ月を過ぎると人見知りを覚えるというように、アタッチメントは発達します。これはその後の人生の対人関係の基礎となり、他者との関係の取り方につながります」と説明。「今の子どもたちは、小さいころから人との遊びやかかわりが不足しています。成長してからも人とのかかわり方がわからず、人間関係で悩んでいます」と話し、これまで接してきた子どもたちの例も紹介しました。さらに、挫折や困難を乗り越える力である「レジリエンス」や、困難な目標への情熱と粘り強さを指す「グリット」を身に着ける大切さを説明し、「子どもの心を育てるためにはコミュニケーションを大切にし、理解して受け入れることが大切です。個性を見極めて主体性を尊重し、失敗から学び、努力を促す。子どもたちにとって、多様な人とかかわり、温かい人間関係を築くことも必要です」とまとめました。

講演後には山本康治学部長の司会で質疑応答を行い、会場に集まった教員や小さな子どもを持つ保護者からの質問に庄司教授が丁寧に回答しました。