東海大学史学会大会と公開講演会を開催しました

2025年度東海大学史学会大会と公開講演会を、6月7日に湘南キャンパスで開催しました。
本会は、本学における歴史学研究の発展に資することなどを目的に、毎年大学院生と教員による研究発表と各分野の専門家による公開講演会を開いており、当日は学生や教職員ら約200名が参加しました。

大会では、日本史、東洋史、西洋史、考古学の各分野に関する研究に従事している大学院生や研究者が成果を発表。
1920年代の旧日本陸軍の演習地と地域社会の関わりを法制度の面から分析する研究や、1946年から48年にかけて行われた東京裁判に対し、同時代の韓国社会がどのような世論を形成したかを新聞記事を史料に検討する研究 のほか、18世紀フランスの最大の出版プロジェクトである『百科全書』編纂のなかで、項目執筆の際の典拠を解き明かすことでテクストの生成過程や執筆者の意図を探る研究、室町時代から安土・桃山時代を経て美濃の窯業がどのように変転したのかを考古学的見地から探ろうとする研究が示されました。

続いて行われた公開講演では、立教大学文学部史学科特任教授の三舟隆之氏が、「古代の食の再現の試み」と題して講演しました。
講演時間が足りなく感じられるほど多種多様な話題が次々に取り上げられ、文献史学・考古学・民俗学・文学部・経済学、さらには調理学・食品学からのアプローチがとられてきた、日本古代から現代にもつながる食の歴史が提示されました。
しばしば身近なたとえ話とユーモアを交えて行われた講演に会場からの反応も大きく、専門家・地域市民から活発な質疑がありました。

東海大学史学会は、日本史、西洋史、東洋史、考古学に関する研究の成果を発表する地域に開かれた研究会を通して、市民の皆さんに社会への関心を開く新たな視点を持ってもらうことを目指しています。
今回の学会では、コロナ禍を経て数年ぶりに学内・学外を問わない一般公開を実施し、文学部・文化社会学部の持つ多様性を生かしつつ、大学近隣の地域社会から参加者を得ることができました。
市民との対話を生む、豊富な事例を交えた講演会を行うなど、その趣旨にあった会を開くことができました。

【研究発表テーマ】
・「1920年代の陸軍の軍事演習における損害賠償-富士裾野を対象に-」
 (山崎紫音 本学大学院文学研究科史学専攻博士課程前期)
・「東京裁判と韓国」
 (ヤン・ハンセ氏 本学大学院文学研究科史学専攻博士課程前期)
・「ディドロ、ダランベール『百科全書』[1751〜]の典拠研究
  - 項目「行儀作法、礼節、鷹揚さ」、項目「礼節」より-」
 (増田都希氏 本学文学部歴史学科西洋史専攻特任准教授)
・「美濃大窯の基礎的研究 」
 (矢野暖弥氏 本学大学院文学研究科史学専攻博士課程前期)