1月17日、神奈川近代文学館で開催された「第12回かなぶん連句会」について、文芸創作学科教員の川口好美が報告します。

連句というのは簡単に言うと、ある人が5・7・5の句を詠み、次の人がぱっと7・7を付ける。
さらに別の参加者がつづけてそれに5・7・5を付けて……と短句を連続して組み合わせていく。
そのような協働によって作品世界を立ち上げていきます。
前の句からインスピレーションを得て新たな句をひねり出すわけですが、前後の因果関係があまりはっきりしすぎている句は“付きすぎ”と言われ、敬遠されます。
主張が強すぎる奇をてらった句はもちろん良くない。
とはいえ前の句からの飛躍がないとダイナミックな展開は生まれません。
この塩梅が難しい。連句は、当意即妙、阿吽の呼吸で他者と作る“座”の文芸なのです。
発句(最初の句)は、俳人長谷川櫂さんが詠んだ<春暮れて蕪村花咲く野道かな>。
登壇者の作家、辻原登 東海大学名誉教授の編著書『与謝蕪村』刊行を祝う気持がこめられています。
句会のタイトルもずばり「花咲く蕪村の巻」。
ここに歌人の小島ゆかりさんを加えた三名の選句者があらかじめ詠んだ十句に、会場参加者が十一句目以降を付けて半歌仙(全部で十八句)の連句を巻くのが、この会の趣旨です。

文芸創作学科の学生たちは投句による参加だけでなく運営補助でも活躍していました。
ちなみに神奈川近代文学館で毎年開催されているこのイベントですが、かつては東海大学で行われていました。
辻原登名誉教授と共に、長谷川櫂さんは文芸創作学科の教員をされておりました。
司会の長谷川櫂さんが次の句の季節とテーマ(たとえば冬・月というふうに)を指定すると、観客席にいる参加者がそれにあわせて句を詠み、投句します。
制限時間はたった3分。俳句も短歌も作り慣れない私は、遅れないようについていくだけで精一杯でしたが、周囲は軽快に筆を走らせていました。
学生たちも真剣な表情で取り組んでいました。句が集まると、まず長谷川さんがめぼしい句をいくつか選び、そこから喧々諤々の議論を経て一句が決まります。
この時に飛び出す登壇者三人の言葉が、広く深い知識とユーモアに裏打ちされていて、とっても心地よくて面白い。
いつまでも聴いていたかったです。本学科4年次生の永谷響乙さんの<君はヘッセが嫌いだったね>という句が選ばれた際には、壇上の辻原名誉教授から永谷さんに「この句はヘッセのどんな面を想定しているのか」と鋭い質問が向けられました。
永谷さんは堂々と渡り合い、辻原さんを納得させました。お見事!!
連句は<雪解け水の川のゆく音>という句できれいに締めくくられました。
会終了後、学生も混じって写真を撮影し、再会を約束しました。
来年はみなさんもぜひ、奥深い連句の魅力に触れてください。