文化社会学部広報メディア学科の樋口喜昭教授の研究室に所属する学生チームが、「ACジャパン広告学生賞」のテレビCM部門で「優秀賞」を受賞しました。このコンテストは公益社団法人ACジャパンが主催し、若い世代に公共広告への理解を深めてもらおうと2005年から実施されているものです。過去最多の応募があった24年度は、同部門に45大学から330作品がエントリーし、27作品が入賞作品に選出。3月25日に東京都・渋谷スクランブルホールで表彰式が行われました。

放送を専門とする樋口教授の研究室では、毎年学生たちが映像系のコンテストでの入賞を目指して制作に励んでいます。今回受賞した笠原拓海さん(3年次生)と平井隼人さん(同)、山下蓮人さん(同)のチームは、高額報酬と犯罪行為による「闇バイト」をテーマにした「停止ボタンはない」を制作しました。加担してしまうと後戻りができない闇バイトについて、自動で紙を切断するシュレッダーを用いて表現。アルバイトをしている青年が書類とともに他人の家族写真をシュレッダーにかけてしまうシーンは、本人も気づかないうちに闇バイトに手を染めてしまい1つの家庭を壊してしまった様子を比喩的に描写しました。3名は、「作中に登場する人物やナレーションを分担し、演出から編集まで自分たちが納得できるようになるまでこだわりました」と振り返ります。
リーダーの笠原さんは、「闇バイトの実行役にはそのような求人と知らずに応募し、犯罪に加担してしまった人もいるとニュースで耳にしたので、実行役の視点で闇バイトの怖さを表現しようと工夫しました。次回のコンテストにもチャレンジし、グランプリに選んでもらえるような映像を作りたい」と語ります。平井さんは、「過去の受賞作品を見て、動画中の平均カット数や撮影の画角を分析するなど研究を重ねたので、評価してもらえてうれしい」とコメントし、山下さんは、「ナレーションを担当しましたが、映像の終盤になるにつれて“実は闇バイトの指示役の声だった”とわかるよう音声を加工し、視聴者が実行役になったかのような没入体験をしてもらえるように表現しました」と工夫を話しました。
指導に当たった樋口教授は、「これまでのゼミ生もこのコンテストに挑戦してきましたが、過去の受賞作を分析し“自分たちならどのような表現をするか”とまで考えた学生は初めてで感心しました。映像制作を通して、学生たちが学びながら変化していく様子が見られて非常によかったです。この経験を後輩たちに継承し、自分たちが次に目指す目標に向けて技術や知識を蓄えてほしい」と語っています。
※所属・学年は当時