文化社会学部北欧学科の開講科目「北欧の児童文学(北欧児童文学入門)」(担当教員=上倉あゆ子准教授)では、5月30日に外部講師を招いた特別講義を実施しました。この授業は、19世紀末から現代までの北欧のこども・若者向けの文学を通して、各国における文学の歴史と背景、主要な作家とその作品などの知識を幅広く習得することを目的としています。今回は、4月から大阪市で開かれている関西・大阪万博に合わせて来日したアイスランド作家のラウン・フリーゲンリング氏が講師を務めました。

約60名の学生が出席した講義では初めに、フリーゲンリング氏が絵本作家を始めたきっかけを語りました。「両親が建築家だったので、子どものころから周りに紙とペンがあり、毎日絵を描いていました。学生時代にはグラフィックデザインを学び、デザインスタジオのデザイナーとして仕事をする中で、独立してイラストを描くキャリアを考え、今に至ります」と振り返りました。続いて、これまで制作に携わった作品を解説。自身が文章・挿絵を担当し、1980年にアイスランドで世界初の女性大統領となったヴィグディス・フィンボガドッティル氏の人生を描いた『世界ではじめての女性大統領のはなし』を紹介しました。「ヴィグディスは現在95歳なので、彼女の活躍を知らない世代も増えています。絵本を読んだ5歳の女の子が感想を語ってくれた時は、絵本のキャラクターを通して実際の人物と触れ合ってもらえていることを実感しました。作家として絵本で物語を伝え、あらゆる世代を結びつけられているのを非常にうれしく思います」と話しました。
また、講義の後には北欧諸国で代表的な食べ物や動物、自然、キャラクターなど、黒板にイラストを描き、学生からも意見を募って即興のアートを披露しました。
なお、特別講義の前には東海大学の近隣にあるカフェ「ginger&pickles」で、フリーゲンリング氏のトークイベントを開催。学生や近隣住民ら約20名に向けて絵本作りの経緯や制作秘話を明かしたほか、絵本やポスターも展示しました。



