文化社会学部広報メディア学科では6月17日に湘南キャンパスで、知のコスモス講演会「『直取引』と『天に向かって』~映画監督、CMディレクター犬童一心のまなざし~」を開催しました。講師を務めた犬童一心監督は、高校時代に製作した『気分を変えて?』(1978年)がぴあフィルムフェスティバルに入選。大学卒業後はテレビ番組やCMの企画・演出を手がけ、数々の広告賞を受賞しました。1998年には市川準監督の誘いで『大阪物語』の脚本を執筆し、映画界に本格的に進出。翌年には『金髪の草原』で商業映画監督としてデビューを果たしました。以降、『眉山 びざん』『ゼロの焦点』『のぼうの城』では日本アカデミー賞の優秀作品賞・監督賞に選ばれ、『黄泉がえり』『ゼロの焦点』では優秀脚本賞も受賞するなど、数多くの話題作を手がけてきました。

当日は、本学科の学生や映画研究会のメンバー、教職員ら約150名が聴講。犬童監督は、映画製作に興味を持ったきっかけや、これまでの作品づくりの舞台裏を紹介しながら、「製作時に意識していることの一つに、“直取引”と“天に向かって”の関係があります」と語りました。「“直取引”とは、目の前のクライアントや観客に向けて、泣かせる・笑わせる・感動させるといった直接的な反応を狙うものです。一方、“天に向かって”は、自分の表現したいことを突き詰め、創造の高みを目指す姿勢を意味します」と述べ、自身が手がけたFUNKY MONKEY BABY’S『LOVE SONG』やYUKI『うれしくって抱き合うよ』のミュージックビデオを上映。その中で、演者との信頼関係や周囲の理解を得ることの大切さについても言及しました。
講演後には、学生や教職員から多くの質問が寄せられ、犬童監督は一つひとつに丁寧に答えました。司会を務めた片山淳教授は、「日本映画界を牽引する犬童監督に素晴らしい講演をしていただき、学生にとって大変貴重な機会となりました。本日のお話は、将来社会に出たときにも役立つ内容であり、今すぐすべてを理解できなくても、心にとどめておいてほしいと思います」と呼びかけました。

