「プロット交換会」その後の活動 〜文芸創作学科の日常〜

この欄で今年の春に紹介した学生有志の「プロット交換会」の活動は、冬を迎えた今も続いています。

じっくりとフィードバック

「プロット交換会」とは、持ち寄ったプロット(あらすじ)を交換し、それをもとに短編小説を書いてみようという学生の発案によって生まれた創作同好会です。
春には学生メンバー同士での感想会が開かれましたが、今回は学科の教員からのフィードバックをもらうことに。お昼休みに小教室で行われた講評会のようすをのぞいてみました。

今回講評を担当するのは、学科長の助川先生。取り上げるのは、3年生の滝浪さんの作品です。
そのほかのメンバーは周りでのんびりお昼ご飯を食べながら、2人のやりとりに耳を傾けています。

特殊清掃員の主人公が、現場で見つけた日記を通してある家族の秘密に触れる、というやや複雑な構成を持つこの作品。助川先生は、作中の交通事故遺族の心情のリアリティは高く評価しつつ、認知症の実態などについてはなんらかの手段で取材をしてみても良かったのではないか、また、主人公自身の「移行」のプロセスがあればもっといい作品になったのではないか、と具体的なアドバイスを送っていました。

「嫌なことのほうがおもしろい!」

熱心にメモを取りながら先生の講評を聞いていた滝浪さんは「投げやりに書いてしまったところがある」と本音をポロリ。実は、自分に回ってきたプロットがあまり好みではなかったそうです。

「本気で物書きになろうと思ったら、投げやりな文章は1行も書いてはいけません!」と、助川先生。「気の進まないことを書かなければいけない状況に置かれるときこそ、自分の技術の限界、弱点が見えてくるもの。そこを、なんとかしようともがいて頑張ることに意味があります。仕事でもなんでも、嫌なことを振られたほうが、絶対におもしろいし、絶対に勉強になる! この会のように、自分のものではない、ほかから借りてきた素材をどう料理しようか考えることは、普段の自分の視点や創作者としての引き出しを冷静に見つめ直せるいい機会になるし、世界がどんどん広がっていきます」

ご自身のリアルな体験談も交えつつ、力強く語る先生のお話にみな頷いていました。
プロット交換会が発足してもうすぐ1年。メンバーの創作に対する情熱はますます燃え盛っていきそうです。

学生と教員の距離の近さもこの学科の魅力です