大学院生が「第15回トライボロジー秋の学校in愛知」でポスター発表賞を受賞しました

大学院工学研究科1年次生の坂部翔大さん(指導教員=工学部機械システム工学科・落合成行教授)が10月6日、7日に、愛知県知多郡東浦町の「あいち健康プラザ」で開催された「第15回トライボロジー秋の学校in愛知」でポスター発表賞を受賞しました。この催しは、摩擦に関する学問領域であるトライボロジーの若手研究者が一堂に会して議論と知見を深め、研究成果を発表して企業・専門家らとの交流を目的とするものです。

坂部さんの発表テーマは「油膜すべり軸受の摩擦低減に向けた新規マイクロバブル発生手法の開発―軸受すきま内における高ボイド率化実現に向けた検討―」です。流体の摩擦抵抗を減らす効果があり、添加剤を使用しないことから環境負荷が低いと考えられるマイクロバブルに着目し、ボイド率(液相に対する気相の体積割合)増加に向けた検討とジャーナル軸受の摩擦低減率の向上を目的とした実験の成果をまとめました。

マイクロバブルを発生させるために従来から使用している「旋回流方式」は潤滑油を旋回させて空気を流入させる方法ですが、現行の発生装置ではジャーナル軸受のすきまに入ることができる粒径50㎛より小さなバブルを生じさせることは困難です。坂部さんは工学部3年次生で落合教授の研究室に所属し、バブルを小さくするための方策を模索。プロペラによる攪拌方式で実験を繰り返してきました。その過程で、軸受内壁面に突起シートを付けた場合、突起後流に生じる負圧からマイクロバブルが発生することを知り、攪拌するためのプロペラ自体への突起の付与を考案しました。

坂部さんは実験で、「バブルなし」と「旋回流」、「旋回流+攪拌」を比較し、 旋回流方式と攪拌方式を組み合わせる「旋回流+攪拌」で摩擦が最も低減することを確認。「プロペラに突起を付与することで粒径が1~40㎛のマイクロバブルが旋回流よりも多く発生することがわかりました。軸受すきま内に入るバブルも増加し、結果として摩擦低減率が向上する可能性があります」と成果を話します。

坂部さんは、「より細かなマイクロバブルを発生させるための新たな方式が見つかり、2年がかりで取り組んできた成果を評価していただけてうれしいです。8月19日から22日までエジプト・アレクサンドリアで開催された国際会議ICDES2025(第6回国際設計工学と科学の国際会議)では、マイクロバブルの摩擦低減効果について今回の前段階の成果を発表しました。初めての国際会議の参加と英語での発表は貴重な経験となり、研究に取り組む意欲を新たにしました。卒業後は、自動車関連の企業で先行開発研究分野や実験に関わっていきたいと考えています」と話しています。