大学院工学研究科機械工学専攻2年次生の川又有真さん(指導教員=工学部航空宇宙学科・沼田大樹准教授)が、9月6日から8日まで湘南キャンパスで開かれた日本機械学会2026年度年次大会で優秀ポスター発表賞を受賞しました。

川又さんは、「DP-AA-PSPにおける色素吸着状態の分析とPSP特性との対応関係の検討」と題して発表しました。所属する沼田准教授の研究室では、超音速で飛行する次世代航空機などの実現に向け、物体表面の圧力分布を発光強度の変化から計測できる「感圧塗料」(PSP)の研究に取り組んでいます。特に、超音速飛行に伴って発生する衝撃波など、急激に変化する圧力場を鮮明に捉えるためには、PSPに高い時間応答性が求められます。そこで同研究室では、高速な圧力変動を捉えることができる「塗装型陽極酸化皮膜型感圧塗料」(DP-AA-PSP)を独自に開発し、超音速現象の解明に活用してきました。一方、DP-AA-PSPの性能をさらに向上させるための塗装条件や、その特性を左右する要因については、十分に明らかになっていませんでした。そこで川又さんは、塗装回数や塗装距離などの条件を変化させ、DP-AA-PSPの発光強度と時間応答特性を評価するとともに、色素の吸着状態との関係を検討しました。その結果、塗装条件によって発光強度と時間応答特性をそれぞれ向上させられることを示すとともに、両特性の間に存在するトレードオフを明らかにし、DP-AA-PSPの性能最適化につながる重要な知見を得ました。また、ポスターでは実験の背景や結果に加え、DP-AA-PSPの性能が単なる塗装量だけでなく、塗膜構造の違いによっても影響を受ける可能性について報告しました。
沼田准教授は、「DP-AA-PSPは世界で最も高い時間応答性を持つPSPです。川又さんの研究が進むことで、計測対象や用途に応じて最適な特性を持つDP-AA-PSPを製作できるようになると期待しています」と語ります。川又さんは、「将来の日本や世界の技術発展に大きく貢献できる革新的な研究だと感じ、沼田准教授の研究室に入りました。ポスター発表では、さまざまな分野の来場者に興味を持っていただき、意見交換を通じて貴重なアドバイスも得られるなど、大変有意義な機会となりました。受賞を聞いたときは驚きましたが、専門分野の異なる方々にも研究内容を理解していただき、活発な議論につなげられたことが評価されたのではないかと思います」と話します。2027年1月に開催される米国航空宇宙学会(AIAA)の「SciTech Forum」での発表も予定しており、「DP-AA-PSPの実際の現象への応用をさらに広げ、社会での活用につながるよう、今後も研究を進めていきたい」と笑顔を見せました。