湘南キャンパスの先進生命科学研究所棟にこのほど、建築土木工学専攻の大学院生らがデザイン・制作したカウンターテーブルや展示台といった家具を設置。10月24日にお披露目会を開きました。「三階建ての家具」と名付けたこれらの什器は1階から3階までのエレベーターホールに設置しました。研究所棟の正面部のファサードをいかした、各階にまたがる三層一体のデザインが特徴です。昨年4月から大学院生と建築都市学部建築学科の学生らが共同プロジェクトとして、本学部の野口直人講師と河内一泰准教授に指導を受けながら、現場の実測からデザイン、制作、設置まで約1年半をかけて取り組んできました。
お披露目会では、最初に先進生命科学研究所の岩岡道夫所長(理学部教授)が、「海外の研究施設の多くは、居心地よくセンスもよい共用空間を備えています。そこで、内外からの来客が多い本研究所にも“顔”となるような上質な共用空間を設けたいと考え、建築都市学部に相談し、エレベーターホールのリニューアルとして実現しました」と経緯を紹介。野口講師は、「岩岡先生から話を聞き、これから日本の大学でもホスピタリティのための空間がますます大切になると大いに共感しました。まずは学生から多様な原案を募り、教員で検討しながら最終的に外から見て統一感のあるデザインにまとめていきました。学生たちへの教育的な役割をも担う機会を与えていただき、感謝しています」と話しました。
当日は、プロジェクトに関わった建築学科の学生や大学院生、本研究所で研究に携わる大学院生らが参加。デザイン・制作を野口研究室所属の津村翔さん(大学院工学研究科建築土木工学専攻2年次生)と、河内研究室所属の杉浦汰一さん(同)が担ってきました。津村さんは、「全体として三層にわたる家具が建物の象徴となるよう統一性を持たせると同時に、多様な用途に対応できるようにそれぞれのフロアに設置する家具を考えました。窓側に置いた木製の大きな家具なので、遮った光が反射して入り込むよう、室内側には汚れや傷を目立たなくする加工を施した金属を張りました。金属に細かな凹凸を付けるために皆で泊まり込んで作業し、全身筋肉痛になったことも(笑)」。杉浦さんは、「自分たちでデザインしたものを原寸大で作り、材料の発注や予算管理など一連の流れを経験できたのは大変貴重な経験になりました」と振り返りました。また、先進生命研で研究する大学院生は、「疲れた時にスタンディングでパソコンを操作したり、休憩に飲みものを飲んだりと、どんどん使いこなしていきたい」と話しました。
お披露目会に駆け付けた総合科学技術研究所の岩森暁所長(工学部教授・学長室研究推進担当部長)は、「研究所は大学の成果を発信する拠点であり、対外的な見せ方も重要な要素です。学生や大学院生の教育の一環として、世界に一つしかない空間をつくり上げた価値は大きい。これからも総合大学の強みを生かし、このような取り組みが進んでいくことを期待します」と話しました。