大学院工学研究科の久保田さんがろう付けに関する国際学会で「Best Paper Award」と「Best Poster Award」に選出されました

大学院工学研究科修士2年次生の久保田空さん(指導教員=工学部機械工学科・宮沢靖幸教授)が、6月24日から26日までドイツ・アーヘンで開かれたろう付けの国際学会「14th International Conference on Brazing, High Temperature Brazing and Diffusion Bonding」に参加し、「Best Paper Award」(最優秀論文賞)と「Best Poster Award」(優秀ポスター賞)に選出されました。ろう付け、高温ろう付け、拡散接合に関する研究者が世界中から集い、3年に一度開催されている国際会議です。今回は約200名が参加し、51件の研究発表が行われました。

久保田さんは、「Thermal property of Ni-based brazing filler metals with high corrosion resistance for heat exchanger」(熱交換器の耐食性が高いニッケルベースのろう付けフィラー金属の熱特性)と題して発表しました。半導体研究では材料ごとの熱伝導率についての議論が多いことを受け、久保田さんはニッケルベースのろうをテーマに設定。リンとホウ素をそれぞれメインに化合した2種類のニッケルろうを比較したところ、ホウ素を化合したろうの方が高い熱伝導率の材料となることを突き止め、今後はこの結果を基により熱伝導率が高いろう材の開発に向けた研究に取り組む計画であることをまとめました。久保田さんは、「高度な研究に取り組んでいる論文ばかりだったので、その中から選んでいただいたことにまず驚きました。画期的な研究成果を挙げた自信はあったので、評価していただけてとてもうれしく、光栄に思います」と話します。また、「最近の研究トレンドは、複数の元素を混ぜ合わせて高強度の材料を生み出す“ハイエントロピー合金”であり、これらの材料設計にはAIの活用が必須になると考えています。工学部にはすでにAIを活用している研究室があるので、自分たちも取り入れて研究に役立てられれば」と語りました。

指導にあたる宮沢教授は、「今回久保田さんが受賞した国際会議には長年参加していますが、論文賞とポスター賞を同時に受賞するのはおそらく初めてのことだと思います。ろう付けする部分の熱伝導率に着目した研究はこれまでほとんどなかったので、着眼点が高く評価されたと考えられます。ドイツやアメリカなど世界各国の研究者が集い、専門性の高い学会で実績を得られたことは大変誇らしい」と話しました。