
大学院工学研究科応用理化学専攻2年次生の吉川咲帆さん(指導教員=工学部生物工学科・黒田泰弘准教授)が、12月3日から5日までパシフィコ横浜で開催された「第48回日本分子生物学会年会」に参加。「細胞内鉄代謝の破綻による白血病細胞死の誘導」をテーマに研究成果を報告し、「MBSJ Poster Award 2025」(日本分子生物学会ポスター発表賞)を受賞しました。
この研究は、慢性骨髄性白血病(CML)細胞の増殖と鉄代謝との関連を明らかにしたものです。吉川さんらは、CMLの治療のコントロールが難しくなる急性転化期に、がん細胞内に鉄の取り込みを促進するタンパク質の発現が上昇することを解明。このタンパク質の発現を低下させると、白血病細胞の増殖が抑制されるとともに、細胞死が促進されることを見いだしました。さらに、鉄量調節の乱れがミトコンドリアの機能低下を引き起こし、エネルギーの源となるATPの合成が減少することも発見しました。
吉川さんは、工学部生命化学科(現・生物工学科)での卒業研究のテーマに「がん」を選び、腫瘍生物学を専門とする健康学部健康マネジメント学科の宮沢正樹准教授の研究室に所属。2024年度から本専攻に進学し、CMLに関する研究を続けてきました。「学会発表での受賞は初めてで、大変うれしく光栄に思います。多様な視点や手法による実験を繰り返して仮説を立証するという研究の面白さを実感できたのは、常に近くにいて相談に乗ってくださった先生方のおかげです。4月からは薬の安全性試験を行う研究技術者として働きますが、『いつでも研究室に戻ってきて』と言っていただいたことを、本当にありがたく思っています。東海大での学びを生かし、医療に貢献できるよう努めていきます」と意欲を語ります。
宮沢准教授は、「受賞研究は、私たちが現在進めている新たながん治療薬の研究を後押しする重要な成果です。社会に出て経験を積んだ後に博士課程に進学する道もあります。まずは社会人として頑張ってもらい、いつか再び共に研究できればうれしい」と期待を寄せます。黒田准教授は、「学部生時代から積み重ねてきた成果が評価されたことを大変喜ばしく思います。これまで培ってきた知識や思考力、研究に関する技術を生かし、社会で大いに活躍してほしい」と話しています。