「人生100年時代の医療と地域を考える-南房総の現場から学ぶ『支える医療』と地域包括ケア-」を開催しました

健康学部健康マネジメント学科の篠原直樹助教の研究室では1月28日に、千葉県南房総市にある医療・介護・福祉の現場を訪れる「人生100年時代の医療と地域を考えるー南房総の現場から学ぶ『支える医療』と地域包括ケア―」を開催しました。命を支えるためには医療と介護・福祉の連携が大切になることから、さまざまな職種が協働する「ゴチャマゼケア」の現場を知ってもらうことを目的に企画したもの。当日は、研究室の学生8名が参加しました。

見学に先立って行われた笑顔グループ医療法人社団優和会松永醫院理事長の松永平太氏による講演では、「笑って、食べて、愛されて」という言葉を軸に、人生の最終段階まで人としての尊厳を守る医療・ケアのあり方が語られました。学生の一人は、「講演を通して高齢者観そのものが揺さぶられました。これまで高齢者は“支援される存在”だと無意識に考えていましたが、一人の生活者として、その人の人生の続きの中で支援を考える視点が強く印象に残りました」と語りました。松永氏は、日本で寝たきり高齢者が生まれやすい背景として、長期入院や安静中心の医療を指摘し、「ゴロゴロ病」という印象的な言葉を用いながら、「よかれと思って続けた安静が、結果的に身体機能や社会とのつながりを奪ってしまう現実があります」と解説。この点について学生からは、「寝たきりは年齢や病気の結果だと思っていましたが、入院や安静が続く中で、知らないうちにつくられてしまう側面が大きいことに気づかされました」といった声が聞かれました。篠原助教は、「印象的だったのは、在宅復帰を巡る事例です。安全性を理由に最初から選択肢を狭めるのではなく、『まずは環境を変えずに挑戦し、難しければ次を考える』という支援の考え方が示されました」と振り返ります。学生は、「安全を重視するあまり、本人がこれまで生きてきた生活の場や、地域とのつながりを十分に考えられていなかったことに気づきました」と語りました。また、サービスを柔軟に組み合わせる発想に対しても、「制度は制限するものではなく、本人の望む生活を実現するために“使いこなすもの”なのだと感じました」といった声が聞かれました。

講演後は、「地域包括支援センターえがお」や「デイサービスセンターあそぼ」、社会福祉法人おかげさまによる認知症デイサービス「おかげさま」、グループホーム「夢ほーむ」、ヘルパーステーション、訪問看護ステーション「そよかぜ」、看護小規模多機能サービス「にこにこ(笑笑)」、老人保健施設「夢くらぶ」を訪問。見学を通して、施設の担当者らからQOL(生活の質)だけでなく、QOD(Quality of Death:満足死)という考え方や、本人が「いい人生だった」と思え、家族が「できることはやった」と感じられる最期を支えることの重要性が語られました。学生からは、「本人、家族、そして関わった支援者が『いい最期だった』と思える関係性こそが、支援の本質なのだと感じました」という感想が寄せられました。

南房総市は高齢化率が50%を超え、独居高齢者や認知症高齢者への支援が大きな課題となっています。その中で地域包括支援センターやソーシャルワーク専門職には、「まちづくりの支援」という役割が期待されています。学生の一人は、「支援者だけで抱え込むのではなく、地域そのものが支え合う力を持つことが、これからの福祉には必要だと感じました」と述べ、専門職と地域の関係性に目を向けていました。

ツアーを通して多くの学びを得た学生は、「本人の思いを起点に、諦めず、怖がらずにチャレンジする姿勢を忘れず、将来は自分もこのような支援ができるソーシャルワーカーを目指したいです」とコメント。篠原助教は、「今回の見学は、医療・介護・福祉が連動し、『望む場所で生き切る』ことを地域全体で支える実践を学ぶ機会となりました。今後も、こうした現場に根ざした学びを通して、地域社会に貢献できるソーシャルワーク専門職の養成を進めていきたいと考えています」と語りました。