人間環境学科開講「観光まちづくり論」では、地域政策や具体的な取り組みを題材に、シティプロモーションの実践やシビックプライドをどのように獲得しているのか、また持続可能な観光と交流人口・関係人口の創出、まちづくりの関係性について考察します。そのうえで、地域の持続可能性に向けた具体的な行動力の獲得を目指しています。具体的には、「人が集まるまち」「魅力ある地域」はどのような取り組みを行っているのか、という問いに挑み、学んだ知識の応用力・活用力を発揮しながら、持続可能な観光まちづくりの企画構想力・発想力の獲得をめざします。例年、人間環境学科では、こうした授業をきっかけに自治体職員(地方公務員)となる学生もいます。
11月18日は、松田町役場(神奈川県足柄上郡)定住少子化担当室の職員をゲストとして迎え、授業を実施しました。神奈川県松田町は、人口減少と過疎化という地域課題に正面から向き合い、持続可能なまちづくりに向けた多角的な地域活性化戦略を進めています。当日は、暮らしやすさと行政サービスの効率性を両立させるまちづくりの推進に加え、移住促進においては住民の暮らしを支える政策的支援とともに、地域との関係性づくりを重視した施策を立案し、シティプロモーションや各種イベントを展開していることをご紹介いただきました。さらに、町立松田小学校の木造校舎による教育環境の魅力化、スポーツを通じた関係人口の創出、山間部の「寄(やどりき)」地域に広がる茶畑や森林資源を活用した農政とのつながりについても説明がありました。単に「定住」を促すだけでなく、「関わり続ける」人を増やすことで、持続可能な町の未来を描いていることが理解できました。
履修学生からは、地域資源でもある桜・ロウバイ・川や富士山を望む風景などについて「美しい」「行ってみたい」といった感想が寄せられました。また、定住だけに依存せず、イベントやSNS発信を通して“関わり続ける人”(関係人口)を増やす発想が新鮮だった、という声も見られました。



12月23日は、「寄」地域を拠点とする森づくり活動の実践的ネットワーク組織であるNPO法人「仂(ろく)」の代表・副代表に登壇いただきました。豊かな森林資源を背景に、日本の里山実践を軸とした中山間地域からみた持続可能な地域づくりの具体像が語られました。具体的には、炭焼き循環の再現に挑戦し、拠点の作業場では炭焼きに加えて映画上映やワークショップ、地域食の提供など文化的な活動も展開し、里山を「使いながら守る」場として再生していることが紹介されました。また、松田町では、SDGs未来都市に選定された根拠の一つとなっている「再生可能エネルギーの利用等の促進に関する条例」を基盤に、NPO・大学・市民が協働して高効率バイオマスボイラーを導入し、薪エネルギーを温浴施設や住宅で活用する地域内循環の構築に貢献している点についてもお話しいただきました。
履修学生からは、薪割りの定例活動、炭焼き、木質バイオマス、精油づくり等が、環境対策にとどまらず、交流や健康(エクササイズ)につながる“楽しい営み”として位置づいていることへの気づきが多く見られました。また、地域の関係性において「おせっかい」や「余白」がつながりを生むという学びがあった一方で、実現性や担い手、発信、運営基盤をいかに持続可能につないでいくかといった課題について考えた、という意見も見られました。




登壇いただきました皆様、ありがとうございました。