10/11(土)に東京学芸大学附属高等学校の皆さん(8名)が、同校教諭(理科・物理)西村塁太先生の引率で教養学部芸術学科松本奈穂子先生の研究室を訪問し、パイプ・オルガンやヴィオラ・ダ・ガンバ、フォルテピアノ、チェンバロ、クラヴィコードなどの古楽器を見学・体験する特別授業が行われました。
この授業は、東京学芸大学教育学部自然科学系基礎科学講座物理学分野の小林晋平教授と、本学文化社会学部北欧学科の原田亜紀子先生、そして芸術学科の松本先生が共同で行っている、古楽器を活用した物理・音楽教育プログラム研究の一環で実現しました。小林先生が普段からご協力なさっている東京学芸大学附属高等学校の探究活動の延長も兼ねています。今回の特別授業の主な目的は、パイプオルガンの音の解析や、オルガン工房職人による講話です。事前に西村先生が講座の内容を紹介し、受講希望にあたっての意気込みも確認しながら参加者を募ってくださいました。
講話を担当したのはガルニエオルガヌム有限会社にお勤めの石井大雅さんです。石井さんは松本先生の研究室にてパイプ・オルガンに関する卒業論文、修士論文を作成し、大学院修了後ガルニエオルガヌム有限会社に就職して、オルガンの製作やメンテナンスに携わっています。
小林先生と研究室の大学院生3名、原田先生、そして当日特別授業時間前に古楽器体験レッスンでオルガン講師を勤めた神奈川県民ホール、オルガン・アドバイザーの中田恵子先生もご参加くださいました。
当日は各自の自己紹介に続いて、石井さんよりパイプ・オルガンの構造、音の鳴り方、管の特徴、調律や整音についてなどの講話がありました。講話の後は、質疑応答と共に実際にオルガンに触れて音を出してもらい、周波数解析なども行いました。
パイプ・オルガン見学のあとは、チェンバロ、クラヴィコード、フォルテピアノ、ヴィオラ・ダ・ガンバなどの弦楽器を松本先生の紹介で見学・体験し、大変有意義な時間となりました。

今回の訪問を終え、各先生からコメントをいただきました。
原田先生(北欧学科)
「パイプ・オルガンを子どものころから本格的に学ばれている生徒さんや、パイプ・オルガンの波動のデータを取り、探求の研究の参考にする生徒さん、チェンバロやビオラ・ダ・ガンバを大喜びで体験されている生徒さん達の姿に、内発的な関心から学びを広げる教育の原点を見た思いです。物理の学びと古楽器体験が有機的につながり、体験学習のすばらしい第一歩になったと思います。」
小林先生(東京学芸大学自然科学系物理科学分野)
「今回石井さんから詳細を伺うことができたおかげで、パイプ・オルガンにますます興味が湧いてきました。筐体の蓋を閉めた状態と開けた状態とで音の高さが変わってしまうというお話は特に興味深く、物理学的な面白さはいうまでもなく、そうした微細な違いまで計算に入れて作り上げる職人さんの技術に驚きを覚えました。附属高校の生徒さんたちが古楽器に触れるうちにどんどん前のめりになり、最後にはとても盛り上がっていたことも大変印象的でした。」
西村先生(東京学芸大学附属高等学校教諭[理科・物理])
「古楽器の音が出る仕組みや年代ごとの特徴に関して解説を聞き、さらに,実際に古楽器に触れて、弾いて、聴くといった体験ができたことは、生徒にとって大変貴重なものとなりました。自分たちの探究テーマ『クラリネットの音響解析』と関連付けて、パイプ・オルガンの音響解析を行った生徒は、その見たことのない波形に驚いていました。今後、生徒の探究活動での連携に発展させていきたいと思います。」
松本:「皆さん大変聡明であり、知的好奇心が大変旺盛で、目を輝かせていたのが印象的でした。松本研究室で管理している古楽器は音楽史において重要な位置を占める貴重な楽器であり、これらを通じて高校生の皆さんの探究心を深めるお手伝いができたようで、大変嬉しいです。素晴らしい体験授業の場を、ご一緒に考えてくださった先生方はじめご協力くださった皆様に心より感謝申し上げます。今後もこうした機会を広げていきたいと思います。」

