人文学部人文学科の学生たちが考案した静岡県焼津市の焼津温泉の源泉を使ったせっけんのワークショップを、5月26日に同市の元湯なかむら館で開かれたイベント「なかむら館DE Marche」で開催しました。温泉や海洋療法による地域振興などが専門の斉藤雅樹教授が、同館の植田正樹社長から焼津温泉の認知度向上を図るための温泉を使った製品開発について相談を受けたことがきっかけとなり活動を開始。その中で、家庭で手軽に使えるせっけんの開発に向けて、「温泉せっけんプロジェクト」と題し、2022年9月から月1~2回のペースで学生たちが同館に集まり検討を重ねてきました。
今回で5回目となる「なかむら館DE Marche」は焼津温泉発祥の場所である元湯なかむら館が創業以来堅持している源泉かけ流しに因んで、源泉かけ流し温泉の日(極上の風呂526)に、「地域の方々が集う場所でありたい」という当店コンセプトの元に当日は、過去最大の18店舗の出店者の参加・協力を得て開催されました。本プロジェクトも商品開発のステップを検証する形で、前回(2023年11月)に続いてワークショップという形で出店を行いました。ワークショップには12名の学生が参加し、当日は約50組の方がワークショップに参加。参加者からは「可愛いせっけんが作れて良かった」や「こんな企画をやっているなんて知らなかった、参加できて良かった」と言った声が聞かれました。
学生たちはこれまで、材料や製法をはじめ、商品コンセプト、ターゲットなどを議論し、カラフルな見た目で、泡立ちの良い製品となるよう活動を続けてきました。斉藤教授は、「せっけんの製作工程では通常、塩を入れて製品を長持ちさせますが、焼津温泉は元々塩分を多く含んでおり製品が安定しやすいことが特徴。ご家庭でも気軽に温泉の効能を楽しんでもらえるのでは」と話します。「オリジナル温泉石けん作り」と題して来場者に製作体験をしてもらうワークショップでメンバーたちは、来場した子どもたちにも分かりやすく作り方を教え、用意した型枠に小さく色づけしたせっけんを置き、その上に溶かしたせっけん液を流し込む作業をサポートしました。渡部碧さん(3年次生)は、「今回の企画は地元に根付いたものとなっており、人文学部で地域マネジメントを学びたかった自分にとってとても良い経験となりました。プロジェクトとしては、今回体験として企画したせっけんを実際に商品化できるように進めていきたい」と話します。
学生たちの活動を見守った植田社長は、「毎回、学生の皆さんと一緒に検討会を行う私も皆さんのさまざまなアイデアに触れ刺激をいただいています。今後の商品化に向けた取り組みを私自身も楽しみにしています」と話します。斉藤教授は、「学生にとって企業と製品開発に取り組める貴重な経験。焼津らしい地域産品を目指したい」と今後の展望を語りました。また、学生たちには「自分のアイデアが形になり社会で愛される喜びを体験して欲しい」と期待を寄せています。