大学院生が国際照明委員会の国際科学論文コンテストで入賞しました

大学院工学研究科電気電子工学専攻2年次生の中島元さん(指導教員=高雄元晴教授、情報理工学部情報科学科)が執筆した英語原著論文が、国際照明委員会(CIE=Commission internationale de l’éclairage)ロシア支部が主催する国際科学論文コンテスト「Young Lighting Scientists」で第3位に入賞しました。1913年に設立されたCIEは、光や照明、色彩空間などの国際標準を策定する世界的な権威ある機関です。

論文コンテストは、35歳以下の若手照明技術者・研究者・学生の研究力向上を目的に開催されており、エントリーした論文は世界各国の10名以上のシニアな研究者によって査読され、上位3名が入賞者として表彰されます。論文を執筆した若手技術者・学生には、それぞれ全査読者から教育的で建設的なコメントがフィードバックされ、若手の研究力向上に貢献しています。

中島さんの論文のタイトルは「Temporal summation effects of middle-wavelength light on the light response of intrinsically photosensitive retinal ganglion cells in humans(ヒトの内因性光感受性網膜神経節細胞の光応答に対する中波長光の時間的加重効果)」です。健康な照明環境を実現するために、世界中の研究者が、光受容タンパク質によって直接光を感知できる特殊な網膜神経節細胞である「内因性光感受性網膜神経節細胞」の光反応特性の解明を目指して研究に取り組んでいます。そうした中で、中島さんは巧妙な実験手続きを考案し、時間反応特性には他の網膜の細胞に比べて非線形な加算特性があることを発見しました。得られた結果は、健康な照明環境を実現するために必要な基準策定の一助になることが期待されます。また、この論文は査読結果に基づいた若干の修正を経て、照明工学に関する国際学術誌「Light & Engineering」に掲載される予定で、中島さんは10月30日にモスクワで行われる受賞記念式典でビデオによる受賞記念講演を行いました。受賞の報を受け、中島さんは、「昨年に続き2度目の挑戦で入賞できたことは大きな喜びです。来年から大手IT企業にシステムエンジニアとして就職することが内定しており、今後は照明工学に関する研究や開発に直接携わる機会がなくなりますが、高雄教授の研究室で学び、仲間たちと研究し、こうしたコンテストで入賞できた経験は、人生における大きな宝であり、今後の自信となりました」と話しています。また、共著者として研究に関わった本専攻1年次生の宮澤慎之介さんは、「中島さんとともに成し遂げた研究が世界的に評価されたことは、私にとっても大きな喜びです。来年は私も入賞を目指してエントリーしたい」と語りました。

研究を指導し、ラストオーサーとして名前を連ねた高雄教授は、「私の研究室から4度目のチャレンジで初めての入賞であり、日本の大学としても初めての受賞という快挙です。研究室ではコンテストで入賞するという目標の下でまとまり、日々の研究から蓄積してきたノウハウを学生たち自らが研究室の財産としてまとめ、後輩たちに引き継いでいっています。英文論文の執筆ノウハウも引き継がれ、最近では私が大きく修正しなくても、よいものが学生自身で書けるようになっています。学生たちは大きな目標を目の前にすると、仲間たちを巻き込みながら自分たちで大きく成長できることを、このコンテストを通して毎年実感しています。今後も研究室としてさらに上位での入賞を目指していきたい」と話していました。