観光ビジネス学科の小林教授の研究室が「熊本版訪日エコツアー2018」を実施しました

経営学部観光ビジネス学科の小林寛子教授のエコツーリズム研究室が8月25日から9月7日まで、オーストラリアからの旅行者に熊本県を中心として豊かな自然や自然と密着した人々の暮らしぶりを、五感を使って体験してもらう「熊本版訪日エコツアー2018」を実施しました。オーストラリアのinterNATIONAL PARKtours社からの要請を受け、2015年度から同研究室の学生たちが3代にわたって、訪問先の下見や地域の方々との交渉、行程の見直しなどを重ねながら、企画してきたものです。今回のツアーには、オーストラリアの旅慣れた60代から80代の男女8名の旅行者が参加。小林教授とゼミに所属する伊藤玲羅さん(3年次生)と堀静夏さん(同)の2名が全行程に同行し、学生1名が熊本キャンパスに待機し、緊急時対応などのバックアップを担当しました。

「熊本版訪日エコツアーは、訪日観光客を都市に集中させるのではなく、日本の地域に分散させ、滞在型の五感を使って体験するプログラムを通じて、新しい日本の魅力を発見してもらおうと実施しているもの。魅力的な訪日観光のあり方を考えながら、魅力的な地域づくりを目指す取り組みです」と話す小林教授は、2006年から12年まで本州で6回、北海道で1回の同様の日本版エコツアーを実施してきました。今回のツアーが九州での第一弾で、学生たちは熊本県の阿蘇から天草までを中心に、大分や宮崎の周辺県も含め、参加者に地域の魅力(宝)を十分に味わってもらえるような体験型のエコツアーを計画してきました。

期間中は、まず阿蘇地域の阿蘇火山博物館や内牧温泉を巡ったのち、大分県との県境に位置する人気の観光スポットである黒川温泉郷を満喫。さらに大分県豊後大野市や再び阿蘇地域を経て宮崎県・高千穂峡も訪れました。さらに一行は9月2日に「熊本地震と復興」をテーマとして、16年4月の熊本地震で被災した本学阿蘇実習フィールドのある南阿蘇村を訪問。農学部生有志が阿蘇地域での交流活動などに取り組む「阿蘇の灯(あかり)」のメンバーによる語り部ツアーを通じて地震発生当初の様子や学生たちの思いに触れました。参加者の一人、スーザン・トンプソンさんは、「学生たちの話から非常に恐ろしい、大変な経験をしてきたのだとよく分かりました。やはり現地でさまざまな話をきくことが大切。オーストラリアでは地震は少ないが、山火事などの自然災害は起きるので、帰国しても備えの大切さを周囲に伝えていきたい」と話していました。同日には南阿蘇村久木野井手口地区の藤原農園も見学し、実際の農業の現場を視察したほか同地区の婦人会が地元産の野菜などを使って作った郷土料理の試食も行いました。さらに熊本地震で被災した地獄温泉「青風荘」も訪ね、復興に向けた取り組みの様子を視察しました。

その後も一行は天草地区や熊本市内を巡り、7日にそれぞれ次の旅先やオーストラリアへと旅立ちました。小林教授とともにツアーに同行し、参加者のサポートにあたった伊藤さんと堀さんは、「英語が得意ではないので通訳も旅のアテンドも小林先生に頼りっきりでしたが、参加者の皆さんはとても優しく接してくれました。企画段階から何度も今回の訪問先を巡りさまざまな人たちと触れ合う中で、社会に出ても生かせる貴重な経験が積めました」と充実した表情で語りました。

小林教授は、「今回のツアー開催を通じて、熊本地域には海外からの観光客に楽しんでもらえる観光資源がたくさんあることを再確認できました。特に、各訪問地での住民の皆さんとの交流や、その暮らしを体験してもらえたことで、こちらの狙い通りの反応を得られました。一方でインバウンド観光が抱える課題も実感しています。外国人観光客の満足度を上げるためには『おもてなしの質』をさらに上げていく必要があります。迎える側が一言二言ことばを交わすだけでなく、先方のニーズに合わせたサービスを提案できるかが重要です。今回のツアーは、訪日観光の課題を解決するためのひとつの実証実験としての側面も有していました。今後、セミナーやシンポジウムといった形で報告し、この成果を広く社会に還元していきます」と話しています。

なお、今回の「熊本版訪日エコツアー」の報告会を兼ねた、熊本におけるインバンドの現状と課題についての講演会を12月12日(水)の15時30分から、くまもと森都心プラザ2F セミナールームで実施する予定です。

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